No.724 まんぷく

 

新入生の皆さん。入学おめでとうございます。教員に教えてもらうより、大学は自分で考える場です。ただし筋の悪い考え方に囚われないよう、正確な知識や考える道筋を教員から習います。高校とは違う勉強のやり方を、どうぞ楽しんでください。それでは実例を。

前回このコラムで夜間の現金引出し手数料が大学生にとって、年利千%近い話を書きました。しかし、中にはあれ変だね、夜間引出し手数料は金利なんて思えない、明日の朝まで現金がない不安を和らげたいニーズ(仕事)へのサービス料で、百円くらいだったら気にならないと。スーパーで78円のペットボトルのお茶を主婦は買うけど、僕たちは飲みたい時に自販機で150円払うのも、便利だから。すばらしい、「効用」は人によって異なるという「知識」です。同じ商品でも使う人のニーズによって、払ってよいと思う価格は違っており、異なる価格は至る所で観察できます。便利ならよい、その通りです。

でも大学では、例えば主語を入れ替えてみましょう。消費者が主語ではなく、生産者や会社を主語にするとどうなるか、まで考えると面白いことが見えてきます。1人の消費者にとっては100円でも、その消費者を千人、万人、相手にする銀行や企業にとっては、年間千%で回るおいしい投資になっています。ネットビジネスの課金は小さいですが、500円の月次会費を払い続ける人が一万人いれば、毎月500万円の収入です。ユーチューバーやタレントが、ネットサロンを開きたがる理由です。

先週で終わってしまったNHKの朝の連ドラ「まんぷく」は日清食品の創業者の奥様をモデルにしていますが、創業者がカップヌードルの高価格100円に周囲の反対を押し切ってこだわり、食事をする暇もなく働く人々や若者の満たされないニーズを発見する過程が描かれていました。いつ呼び出されるとも知れない警察、消防署、夜間勤務の看護師さん、ギターを弾きながら歩きながらおしゃべりに熱中したい若者は、食事を作る手間を、場所を100円でも買ったのです。日清食品の創業者だけが、そのことに気がついていました。商品を作る楽しさだけでなくニーズを埋めてあげ感謝され、その上大きな利益を得られるのです。ハマらないはずがありません。

NHKが大坂制作で作る連ドラは、東京で作られるよい子が様々な障害にめげず頑張る話とは違って、ビジネスそれ自体の面白さにハマる女性をユーモアとともに描きお勧めです。「ちりとてちん」はお笑い産業の、「カーネーション」はファッション産業の、「ごちそうさん」は飲食業の面白さと苦労を描いていましたが、今回の「まんぷく」は商品開発とマーケティングの面白さをたっぷり魅せてくれました。

と勉強の仕方を説いていたら、ビッグニュースが飛び込んできました。再来年のNHK関西制作の連ドラは「愛と学」、朝日大学の創業者と奥様をモデルにしたお話だそうです。北海道から大阪に出てきて苦労して歯学を学び、歯の治療用合金で特許をとり、先見の明で東京の住宅事情や商業施設を改善し、人材育成のために大学を創設した家族がとりあげられました。あ、今日は四月一日か。(岩崎)

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