No.678 伝え方が大切-おもいやりと距離感

 前回とりあげた関市の行革推進会議では、女性委員からもう一つ重要な指摘がありました。役所が説明に用いる文書では、市民への気配りを感じられるような暖かい表記をしたほうがよいというものです。当初「利用者負担の公平性を確保する観点から、保育園の時間外保育について適正な利用料を徴収します。」となっていた行財政改革アクションプランの文章では、機械的で冷たい印象を受けてしまうというのです。公平性を確保する観点という文章には、役所はいろいろなことを調査して実施するという思いを込めているのですが、確かにどういう意図で調査して実施するのかの思いが伝わりづらくなっています。  
 同じことを伝えても、言い方や表現で相手にうまく伝わったり誤解を受けたりすることは日常良く経験します。私自身自分をリーズナブルな人だと思っているのですが、しょっちゅう誤解されます。特に仕事では完璧を期したい思いが強いせいか、中途半端な取組みへの励ましや、より良いと思われるアイデアを出す際に、ついきつい口調になっていることがあります。理不尽に叱られたと思った人はやる気を失い、協力してやるものかと意地にもなります。よかれと思った物言いが本当に逆効果になってしまいます。かといって、ニコニコしているだけではより良い仕事や人間関係へ発展させることができません。
 相手を思いやりつつ、伝えたいことを正確に伝える距離感を維持するには、たゆまぬ訓練で磨いた技術が必要なのです。私自身この努力が十分とは言えず、またやってしまったと後悔する日々です。正しいことをやっているという自信があるときほど、多少の説明不足はあっても理解しない方が悪いという「甘え」があるのでしょう。つまり正義漢ぶった偉そうで尊大な奴という風にも見えているわけで、あながち誤解されているとも言えない自分に気がつき、落ち込みます。
 謙虚な気持ちで自分の言動を見直すには意識してトレーニングを続けるだけでなく、自分をチェックしてくれる第三者を持つことがとても大切です。自分が師と仰ぐ人や本当に親しい友人を見つけると生涯に渡ってこの役目を果たしてくれ、時に耳に痛い話をしてくれます。年をとるとはこのような人々を失うことでもあると感じます。
 今回関市にとっては、市民の委員がこの役目を担ってくれました。先ほどの文章は、「保護者のニーズに丁寧に応え、きめ細かなサービスが提供できるよう、保育園の時間外保育について適正な利用料を徴収します。」というふうになりました。利用実態を十分調べて、万一の保険として利用料を払って権利をキープする人と、本当に困って利用したい人とがバランスをとれるような利用料金を検討しようという細かい内容を、思いやりを持って伝えられる表現になっていたら、行革推進会議は成功に近づいています。   (岩崎)

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