No.675 伝え方が大切-届いて見える

 映画やテレビの大きなテーマは一目惚れです。学校ではいつでも正直に行動することを教えられましたが、一目惚れした相手にいきなりずかずか近寄って「愛しています。」と「正直」に告白する人はあまりいないでしょう。誰かに一目惚れしたらどうやって相手に気持ちを伝えるか、ちょっと考えてみてください。できるだけ自然にそばによる機会を探し、何気ない会話のチャンスを見つけ、連絡を取れる関係を作ります。そしてまなざしや態度など、あなたに興味があるというサインを、相手から見える形で送るのではないでしょうか。気持ちも大切ですが、伝え方はもっと重要だと誰でも経験で知っているからです。
 恋愛では当たり前のことが習慣化したビジネスや市民生活の中ではうっかり忘れられ、お客様や受益者との共感が得られなくなることがあります。今年から関市の行革推進会議をお手伝いしています。人口減少、過疎化、少子高齢化が急速に進む中で市民生活を支える税収は減っていきます。さらに広域合併後の移行期間がおわり、国からの地方交付税も今後3年間で7億円以上減額される見込みです。このままでは多様化する市民ニーズや施設の老朽化に対応できなくなります。
 全国どこの自治体も抱えるこの問題は従来のお役所だのみでは解決できず、住民間の積極的な共感と協力が必要です。原案は市が作りますが、関市では市民団体、市職員、学識経験者に加え公募に応じた積極的な住民を加えた審議会が意見を述べる事となりました。自発的な勉強会を経て行われた審議会では、民間経営のノウハウとも言える費目に応じフォローにメリハリをつけることや優先度の低い市事業の一層の見直し等、建設的な意見が出されました。
 もっとも大切な指摘は、役所が努力した点がきちんと市民に伝わる工夫をしようというものでした。ポイントは①市民に届くメディアの活用と、②今の自分たちが置かれている状況がわかる見える化でした。恋愛と同じくできるだけそばに寄り、市民から見えるサインを送ることです。例えば関市の改革ではゴミ処理費用の適正負担を掲げていますが、要は有料ゴミ袋の値上げです。読まれない市の広報誌の告知のみでこの施策を実行しようとしても反発が生まれるでしょう。SNSやネットが発達した今にふさわしい情報伝達や地域の口コミを活用した事前の説明が不可欠です。説明はわかりやすく、市民の財政で負担している膨大な費用の全容と、近隣市町村に比べても著しく安く設定された今のゴミ袋の値段、そして対市町村の経験から適正な有料化によりゴミの量の減少が予想されることを、見える形で伝えることが大切です。
 市職員にも目から鱗のこの意見は、届かせて納得と共感を得ることが得意な女性の委員達から出されました。そしてマーケティングの基本でもあります。    (岩崎)

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