No.681 小さなウソ

 先日スケジュールの確認を忘れあわてて先方に向かったのですが、10分遅刻してしまいました。もちろん出向く前に電話を入れ、少し遅れることを伝えたのですが、親しい先だったのでついつい「道が思ったより混んでいて」と小さなウソをついてしまいました。先方は嫌な顔をせず会ってくださいましたが、馬鹿なことをしました。

 嘘は悪いことと小さいときから知っていますが、人間はついつい嘘をつく生き物です。嘘を研究しているパメラ・メイヤーによると、①嘘とは、嘘をつく人と、その嘘を受け入れる人の共同作業である。②私たちは嘘を否定しながら、裏では意識して嘘をついている。と指摘し、人は1日に10回から200回の嘘をつくとの研究を紹介しています。嘘をつく人とつかれる人は共犯で、善し悪しではなく僕たちの生活に嘘は常にあるのです。特に人間関係の潤滑油として小さなウソはそうだと実感します。

 問題は、家庭内や友人間や学校で許される小さなウソでも、ビジネスや社会の中では許されない嘘となることです。社会の方が厳しいのです。先ほどの僕の嘘は、友人レベルでは許される可能性のあるウソを、思わず社会的な関係の中で使ってしまったものです。相手が厳しいけれど優しい人だと僕の嘘を指摘して叱ってくれます。しかし社会ではそのような人はまれで、次回から僕のことを信用せず、ただ関わりを持たなくなってしまいます。用事があって電話しても、「今忙しくてすみません。」とウソで返されてしまいます。

 教員は学生が嘘をついているかもと思っても、学生を信頼することが教員のつとめと考えて、ついつい小さなウソと受け入れてしまいがちです。小さなウソは、僕を見ても分かるとおり甘えの心に吸い寄せられて悪化します。そこで今年から、「ノートをとろう。メモしよう。」というキャッチフレーズを学部で決めました。授業でメモをとるトレーニングをしない学生には、5月からは問答無用で教室を出てもらうことになります。小さいウソをつかない習慣を身につけることが社会に出て行く大切な準備と考え、判断を交えず約束と行動を一致させることで小さなウソを避ける習慣化をはかろうというものです。

 岐阜の有名企業の社長さんが議長をするある会議に30分遅刻してきたとき、忙しい人だから前の仕事が長引いているのだろうと、議題についての雑談をして待っていました。社長さんは汗をかいて到着するなり、「どうも申し訳ありません。うっかりスケジュールを見落としていました。本当にすみません。」と会議中10回はお詫びをされました。小さなウソが許される状況でしたが参加者はあっけにとられたあと、彼の潔い人柄にほれなおしました。習慣のプラスの力は馬鹿にならないのです。 (岩崎)

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