朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-2009/10/12)
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「負けても勝つには?」 <ファイナンシャル・コース>
応援には行けなかったのですが、ラグビー部が対名城大戦で大変良い試合をした話を四年生から聞きました。前回大敗している強豪ですが、対戦相手を徹底して分析してゲームプランを立てチームで忠実にそれを実行した結果、前半を20対19とリードし後半途中までリードを保っていたものの、最後にスタミナがつきて逆転を許したそうです。惜敗に選手は皆悔し涙にくれたそうですが、思い出に残る、次につながる負け方です。 リーグ戦では技量だけでなくモチベーションをどう維持するかが重要です。良い負け方は次の試合のモチベーションのプラス材料ですし、悪い勝ち方は後の試合に大きく影響します。最近の鹿島アントラーズの連敗もそのあたりに原因がありそうです。 モチベーションを野球の勝ち点を例に考えてみましょう。大学リーグの野球では、先に2勝したチームが勝ち点1を得ます。勝ち点をとるには、①1試合目勝ったあとの2試合目、②1試合目負けた後の2試合目、③1試合目勝ち、2試合目負けたあとの三試合目④1試合目負け、2試合目勝ったあとの3試合目、に勝つ四つのパターンが考えられます。あなたはどの試合が一番やりやすいですか。 学生に聞くと、多くは①③④②の順でやりやすいと答えます。最初に1勝したほうが目標に近づくし、負けていないほうが良さそうなので、この順番は納得的です。 しかし、相手の勢いを想像してみるとこの順番は変わってきます。1試合目負けたあとの試合は、当初は相手も一番嫌だと感じています。そのあと勝つとどうなるでしょう。勝った実感は単なる先勝より大きいでしょう。つまり自然と勢いが出ます。④のときはそのチームはメンタリティを維持しやすいのです。つまり自分のチームにとって③の状態の時は、一番闘志に溢れた相手と戦うことになります。 こうやって試合のやりやすさに勢いによる双方のモチベーションを加味すると、勝ちやすい順番は、④①②③となります。先勝して負けた後の第三試合は、自分たちはモチベーションが下がっていないつもりでも、最初に考えたやりやすさと大きく違うことから、逆に負けやすいのです。このことを知っていると、取りこぼしは少なくなります。 モチベーションは、単に強い人が高いのではありません。良い方向に変化が生まれると変化の大きさ以上に大きく高まります。良い方向に変化した負けは勝ちに等しいのです。今調子が悪いことを嘆く必要はなく、何とか乗り越える兆しをつかめば、以前よりずっと強くなれます。逆に今調子がいい人は、意識して慎まないと大きく調子を落としてしまいます。昔の人はこの状態を高(たか)ころびといいました。 常に相手があるビジネスの世界では、良い経営者とはこのことをよく知っている人でもあります。社員の状態に応じたリーダーシップを発揮していきます。スポーツの監督がビジネスマンに人気があるのも同じ理由からです。スポーツで良い監督に出会ったらよく彼がどのような場面でどう動くか観察してください。スポーツだけでなく活きた経営も同時にまなぶことができます。 (岩崎)
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