朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-04/03/07)

 

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3月7日号(第153号)  



 身近なビジネス 

「会社は誰のもの」
 
 ニッポン放送(株)に関するライブドアの敵対的買収問題は、日本人が従来あまり意識していなかった「会社は誰のもの」という問題を強く意識させるきっかけになりました。 大学で習う株式会社は、社会的責任としてお客様、取引先、従業員など利害関係者への配慮も求められますが、主に株主(資本を出している人)の利益のために経営者によって経営される組織と位置づけられます。このため、大株主は自分で経営者を選ぶことができます。ライブドアがニッポン放送の過半数の株を買いたい、あるいはフジテレビが新株引き受けをしたい理由です。
 しかしながら日本の企業では、会社は従業員のものと捉える気風が強く存在します。就職活動中の学生の皆さんは、この感覚を内々定をとりつけ来年4月に入社後しばらくたつまでの短期間に自分自身の変化として味わうことができるでしょう。中には、入社するまえから、うちの会社は・・・と、まるで古参社員のように語り出す人もでてきます。
 このような会社への帰属意識は、日本企業の強さを生み出す秘密です。1999年には倒産の危機に瀕していた日産に、資本提供したルノー社から派遣されたゴーン社長は、この点をよく理解していました。彼はリストラ策を上から指示せず、社内の中堅社員を中心とした複数のプロジェクトチームで短期間に検討させ、これを社員が考えた唯一無二の再建策として提示し実行を求めました。人員削減を含む厳しいリストラ策であったにもかかわらず、業績回復とともにゴーン社長は日産の社員から従業員の代表と認められ、最近のテレビ報道を見ると、ゴーンさんさえいれば安心との従業員の心情も聞かれます。   同時に会社への帰属意識は、組織への依存体質や資本関係への見通しの甘さを生み出す日本企業の弱みでもあります。先月、応援していた経営者が一人退任を発表しました。以前このコラム「続・行動する想像力」でも取り上げた玩具メーカー、タカラの佐藤慶太社長です。アイデア創業者の2代目である彼は、2000年に不振に陥っていた老舗の経営を引き継ぐと、リストラと同時に先代譲りの玩具への情熱と社員を信頼する権限委譲でヒットを連発し、いったん立て直しに成功しました。しかし将来の業界再編を恐れ、家電やサービスまで裾野を広げた成長拡大方針が裏目に出て、今期は就任後初の大幅な連結赤字予想となり、3月末での退任を発表しました。
 社内の人望も厚く腕も確かな社長さんであり、一族が株の大半を保有しているオーナー企業であれば1期の赤字で退任に追い込まれることはなかったかもしれません。今回の退任はリストラ時に資金支援した大口出資者の要請があったようです。社長とは天使のように大胆なドリームを率先して信じる仕事ですが、日本の会社でも、悪魔のように細心な計算が従来以上に必要になっています。    (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「もう、来てしまいました」
 
 広告業界トップの電通が2004年の国内総広告費が、前年比3.0%増の5兆8571億円と、4年ぶりに増加に転じたと発表しました。景気回復、アテネ五輪、猛暑などが追い風になったとの分析ですが、この記事の中に見逃せない内容が含まれていました。  
 媒体別広告費を対前年比で見るとテレビ(4.9%増)、新聞(0.6%増)となったのに対し、雑誌(1.6%減)、ラジオ(0.7%減)とマスコミ4媒体の明暗がハッキリ出てきた印象です。  
 この様な動向の中で、インターネット関連の広告費が前年比53.3%増と超急成長したことによって1,814億円とラジオ全体の広告費1,795億円を越えてしまったのです。  
 以前、このコラム「インターネットの力」で、この時代の流れを予測はしていても、わずか1年半で現実になり、もう、その時代が来てしまうとは、時代はドッグイヤー以上に加速していると考えるべきなのでしょう。
 世間から見ると、新参者のホリエモンが、伝統あるラジオ放送局を傘下におさめるなどとんでもないと考えるかもしれませんが、広告業界という視線で見ると、「追われ、追いつかれた業界」に「追いつき、追い越す業界」が噛みついたという、突飛でも何でもない当然といえる構図が浮き出てきます。
 テレビの広告費がラジオを追い抜いてから新聞の広告費を追い抜くまでに約20年かかったのですが、さあ、これからあと何年でインターネットが新聞の広告費を追い抜き、テレビに迫ることができるのでしょうか。    (田村)

 今週の話題 
「企業価値とは何か?」
 
 先月23日、ライブドアのニッポン放送株の取得に対抗して、ニッポン放送がフジテレビの子会社化に向けた新株予約権の発行を決議しました。翌日、ライブドアが発行差し止めを求める仮処分申請を行う等、マーケットでの株の取得合戦から、法廷闘争に攻防の舞台が移りつつあります。  
 この議論の中で、ニッポン放送側は「経営の支配権がライブドアに移ると,企業としての価値が低下する」として、企業価値を守るために、新株予約権の発行を正当化しました。一方、ライブドア側は「(ニッポン放送側の増資は)一般株主の利益を毀損させる」として、双方が「企業価値」を巡って対立している構図となっています。  
 では、そもそも企業価値とは、何でしょうか。企業価値に関わるポイントだけ、考えて行きたいと思います。企業価値の定義は、狭くも広くも定義ができるもので、「会社全体の経済的価値」と狭く捉えることも、企業の環境にも配慮した社会的責任まで広く含めることも可能です。  
 会社全体の経済的価値の観点から、企業価値を考えても、①純資産方式、②収益還元方式、③市場株価比較方式(株式市価法)、④DCF(Discounted Cash Flow)方式などの計算方法があります。  
 今回のライブドア/ニッポン放送の議論では、双方の株式時価総額が議論となっています(上記の③)。確かに、株価に発行済株式数をかけた金額が株式時価総額となり、その時の会社の値段という意味では、企業価値と「株主価値」が同額となり、定量的に最も分かりやすい形と言えます。  
 米国でも、1980年代より、企業価値向上のために、TOB(Takeover Bid)が容認され、また否認される歴史の中で、現在の企業統治スタイルに辿り着きました。日本でも、今回の事件が、今後の日本企業のコーポレート・ガバナンス向上につながる前向きな予兆になることを期待しています。    (階戸)

 


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