朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-04/04/25)

 

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5月9日号(第162号)  



 身近なビジネス 

「Shall we dance?」
 
 ビジネスの報道ではよく戦いのたとえを使います。経営戦略の戦略という言葉自体が、戦術に対比された軍事用語です。企業買収で新聞によく登場する言葉、ポイズンピル(毒薬)ホワイトナイト(白馬の騎士)、焦土作戦などもすべて血なまぐさい争いを想起させるものです。そもそも組織という言葉自体が非人間的な軍隊を思い起こさせますし、実際にオペレーションズリサーチやマンチェスターの法則など、軍事研究から派生した実用的な概念も多い世界です。  
 ビジネス現場にいた頃から感じていたのですが、ビジネスの実質は本当に戦いと似ているのでしょうか? もしそうなら敵は誰なのでしょう? たぶん、お客さんは敵ではないでしょう。お客様との信頼関係のある継続したつきあいが、企業の利益を長い目で見て最大にします。振り込め詐欺のように取引相手をカモとしているケースもありますが、これはビジネスとは呼べないでしょう。
 では同業他社が敵でしょうか? 確かに経営学では競争相手、競合先として取り扱います。しかし、同業他社がいるから市場全体が広がることもよくあります。秋葉原のような同じ種類の店が集まる町はお客にとって便利なだけでなく、そこに集う企業にとっても多くの見込み客の目に触れうるメリットがあります。
 では、買い叩くべき仕入れ先でしょうか。ニッポン放送問題のように株主でしょうか。 はたまた従業員が敵なのでしょうか。確かに競争を中心概念として経営戦略や財務戦略を戦争にたとえることは強く情感に訴えてはきますが、ビジネスの様々の関係を正確に表すものではなく、当事者にとっての誤解や行き違いをむしろ増長してしまいます。
 このような戦いのたとえをダンスに代えてみると社会を見る目が全く違ってくることを、ある言語学者は指摘しています。企業を男性、お客を女性とすると、男の子(企業)のうち誰が女の子と踊れる(どの製品やサービスが選ばれるのか)のか。女の子(お客様)から見れば誰と踊りたいのか、という見方です。あなたならどんな相手とダンスを踊りたいでしょうか。容姿、立ち居振る舞い、話し方が魅力的な人でしょうか。踊りが上手で、教え上手、褒め上手な人でしょうか。その人と踊ると、みんなからうらやましがられそうな人を選ぶでしょうか。  
 男性側である企業も、ライバルの足を縛ったり、ダンスホールに他の男性が入れなくしたりするより、自分の踊りや魅力を磨いた方がより多くの女性と踊れることになります。話題の映画を見たりDVDで『ニューヨークの恋人』を借りてロマンチックな気分にひたりながら、こんな事を考えてみるのも素敵です。    (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「AdobeがMacromediaを買収」
 
 Photoshop、Illustrator、Premiereなど画像処理や動画編集ソフトの老舗である米国アドビ・システムズ社が、Flashなどインターネットコンテンツ制作ソフトの米マクロメディア社を34億ドルで買収すると発表しました。
 この2社の経営統合はインターネット関連企業にとって、とても注目すべき動きです。
 その理由は、ソフトの使い勝手、操作性についてです。両社は、FreeHandとIllustrator、GoLiveとDreamweaverなど、いくつもの競合するソフトを持っていて、コンテンツ制作を行うデザイナーたちは自分達の手になじんだソフトによって、Macromedia派とAdobe派に分かれていたのです。また、私のようにAdobeのPhotoshopで画像を加工し、MacromediaのFlashに貼り付けて動画コンテンツを作る様なことをしていると、両社の操作性を統一してくれればもっと使いやすくなるのにと使うたびに思っていました。その上で両社の持っているイイトコ取りのソフトが出てくれれば、それは素晴らしいことです。
 しかし、強力なライバル同士であった2社が競い合うことで生まれてきたものが、巨大なAdobe社1社になることでソフトの価格が上昇し、良い製品が出なくなってしまうのでは、ユーザーにとってマイナスだけになってしまいます。
 この強力ライバル2社が経営統合する裏には何があるのでしょう。AdobeとMacromediaには共通点があって、電子文書フォーマットである「PDF」はAdobeが開発したもので、閲覧ソフトであるAdobe Readerは、インターネットに接続されたほぼすべてのパソコンにインストールされています。同様にMacromediaが開発したFlashやShockwaveはインターネット上のビデオやアニメーション閲覧に欠くことのできないソフトとなっており、これらも広く普及しています。また両社のソフトは、マイクロソフトのWindowsだけでなくApple社のMAC、PDA、携帯電話などOSの壁を越えて普及していることから、ソフトの普及率でマイクロソフト社と互角に競うことができる唯一の企業と言えます。
 今後のアドビ・システムズ社の動きを注目したいと思います。    (田村)

 今週の話題 
「JR西日本の脱線事故」
 
 4月25日にJR西日本の福知山線で107人の死者と460人の重軽傷者を出すという大変痛ましい事故が発生しました。事故から2週間経っても、これに関連するニュースが報道されない日はありません。一人の未熟な運転士による過失というより「JR西日本」という会社の体質というか企業風土にこそ根本的な原因があるように思われてきました。ここにメスを入れて、企業風土を根本から変える努力をしない限り、今後も同じような事故の発生は避けられないと思います。今回の報道の中で、JR西日本の電車がオーバーランした回数が、事故後だけを数えても数十回あったことを伝えていました。全国の鉄道について調べればどんな数字になるのかと考えると、改めて現代社会のしくみの恐ろしさに気づかされ、平静ではいられなくなります。  
 また最近、日本航空(JAL)で頻発するトラブルのことが報道されています。国土交通省から3月17日に事業改善命令を受けた後も、トラブルが続いています。原因の一つは、新幹線との競争からダイヤ(時刻表)に遅れないように運行する「定時性」を、過度に優先したことだといわれます。安全性より定時性を優先した根本の原因は、やはりその企業風土にあるように思われます。われわれ現代人は、航空、鉄道、バスといった交通機関だけでなく、食品、医療、薬品など人間の生命に直結する製品やサービスを、提供者である企業から購入しています。その際に、その会社の体質とか企業風土について考えたり、疑ったりすることはありません。今回のような事故が起きて、改めてわれわれの日常生活が危険と隣り合わせであることに気づかされます。われわれ消費者が賢くなって、企業の提供する製品やサービスを厳しく監視し選別するようにならなければ、健全で安全で安心できる現代社会をつくり上げることはできません。    (横山)

 


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