朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-04/10/11)

 

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10月11日号(第132号)  



 身近なビジネス 

「もう一つのあゆの物語」
   
 9月28日に発売された浜崎あゆみさんの24枚目のシングル「CAROLS」は、最近のオリコン週間ランキングで初登場1位となりました。初登場1位はこれで20作目、ファンにとってはとても大切なアーティストであることがわかりますが、同時にビジネスの上でも強烈な影響力をもつ存在になっています。シングルの総売上枚数は18百万枚を超えています。

 浜崎あゆみ、hitomi、大塚愛などが所属するレコード会社エイベックスを抱えるエイベックス・グループ・ホールディングスは、1988年東京郊外の小さなレコード卸業としてスタートしました。貸しレコード店に普通のレコード卸が扱わない輸入盤やインディーズ盤を販売することからはじめ、ダンス系音楽で急成長しレコード製作に業務を広げ、大物アーティストを抱える大企業に短期間で成長し、2004年3月の連結売上高は739億円経常利益は72億円となっています。
 同社の成長は、商品(音楽とアーティスト)の目利きである若い松浦勝人前専務と、経営の目利きであるベテランの依田巽前会長の組み合わせに支えられてきました。松浦前専務は20歳の頃からヒットする音楽を見つけだす能力に長け、それを他人に伝える努力を惜しまずユーロビートを広め、TRF、安室、浜崎、MAX、ELTなどのアーティストを発掘しヒットにつなげました。一方大手電機メーカーでの経験から海外との交渉が巧みで会社の運営に詳しい依田前会長は、経営者として急成長会社にありがちな組織運営や経営管理の弱さをしっかりコントロールしてきたようです。
 音楽業界は、インターネットを通じた新しい流通や料金の請求が難しいコピーの反乱で変化の激しい経営環境にあります。エイベックスでは今年7月末に経営方針についての考え方の違いから、松浦前専務がいったん辞表を提出する事件が起こりました。ところが8月3日には逆に依田氏が会長を辞任し松浦氏が復帰することとなり、10月には同社の社長に就任したのです。短期間に起こったこの逆転劇は、松浦前専務を応援する浜崎あゆみさんを中心とするアーティストが移籍をほのめかし株価が急落したことによって起こったようです。7月には1900円だった株価が、8月2日には急落して1600円前後になり現在も低迷が続いています。
 組織上位での意志決定が、強い現場の意見で翻るような状態をホールドアップ問題といい、日本では従来あまり目立ちませんでした。プロ野球の新規参入問題と同様、あゆの物語は社会が変化しつつあることを示しており、これからの経営者は経営について「黙ってついてこい。」ではなく、株主、従業員、お客様、ファンに十分説明する責任が強まっています。   (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「新方式の薄型表示装置」

 8月のアテネオリンピック開催以来、カラーテレビジョンの薄型化が一気に進んでいます。カラーブラウン管がアメリカのRCA社で開発されて以来、日本では昭和30年後半からカラーテレビの販売が本格化し、40年代前半に普及率が10%を超えたところから急速に普及しはじめ、今日までいろいろ技術改良が加えられて、画質、色彩表現においてカラーテレビはほぼ完成の域に達しました。
 一方で、ブラウン管方式には根本的欠点があります。その一つは、重量的に重いこと、奥行きが長くて広い設置スペースを必要とするところです。
 これらの欠点を克服するための技術開発がすすめられ、4,5年前くらいからプラズマや液晶などの薄型表示装置の実用化がすすみ、それを組み込んだ商品が発売されるようになりました。カラーテレビはやはり壁掛けが理想の姿ですね。多くの人たちがそれを望み、実現するのを待ちこがれていたところですが、多くのメーカーがこの課題に取り組み、遂にカラーテレビの薄型化を実現しました。もちろん、画質、色彩表現、明るさ、コントラストなどの性能も大幅に向上し、薄型テレビへの人気はここにきて一気に高まってきています。
 しかし技術の進歩はめまぐるしく、早くもこれらに代わる新しい表示装置が登場してきました。表面電解ディスプレイ(SED)と呼ばれるこの表示装置は、ブラウン管方式を踏襲し、重さと奥行きの問題を解決した上でブラウン管方式の持つ特徴を備えたものになっています。液晶の欠点である動画レスポンスもよく、画質にも期待が持て、メーカーの発表を素直に受け取ればこれからのカラーテレビの主流になる可能性があり、来年発売予定ということで店頭に並ぶ日に期待したいと思います。
 ただ技術革新によって顧客の欲望を次々と満足させてくれることは大変ありがたいことだと思いますが、その進歩が早すぎても客を混乱させることにもなり、 “今買わなくても待てばすぐにもっといいものが出てくるのでは”との変な期待感を抱かせて、 顧客心理を惑わせる状況にならないよう願いたいものです。   (大山)

 今週の話題 
「経営の参考にしたい旅館No.1」 (経営の参考にしたい旅館)
 
 日本経済新聞社が、最近、全国の旅館経営者を対象に実施したアンケートで、経営の参考にしたい旅館No.1は、石川県の和倉温泉にある「加賀屋」となりました。2位は北海道の阿寒湖温泉の「あかん遊休の里 鶴雅」となっています。これらの旅館は、いずれも定員が千人を超える大旅館でありながら、その接客水準向上のため不断の努力を惜しまない姿勢が評価されたものです。  
 加賀屋は、バブル期も個人客志向を変えずに、巨大旅館でありながら、3部屋に2人の客室係をつける「贅沢な」体制を維持してきました。そのために、女将(おかみ)が率先して、顧客サービスを日頃から実践しています。入社3カ月以内の新しい客室係には、「初心者マーク」を着けさせ、本人の意識付けだけではなく、顧客に対し、十分な対応が出来ないことから来る余計なトラブルを避ける工夫を施しています。子供を持つ女性従業員のために、託児所付き社員寮を整備するなど、顧客サービスにつながるインフラ整備に余念がありません。2006年には、フランチャイズ方式で、台湾に旅館を展開するなど、次なる顧客サービスへの「国際版」も準備中です。  
 鶴雅も、年間20万人が訪れる大型旅館ながら、いつも顧客満足度の高得点獲得旅館の一つです。やはり、強さの秘密は全員参加で行っているサービス改革です。客室に置かれた満足度アンケートは即日集計され、翌日の朝礼で全スタッフに結果が報告される仕組みが出来あがっています。評価の低かった部署は徹底して改善を求められます。館内55カ所に設置されたカメラからの映像が、コントロール室のモニターに映し出され、2~3人の司令塔役が、顧客サービスのために全スタッフに対し適材適所の指令を出しています。  
 日本の旅館も、長年続いた不況の中で、元気を失くし、ついには倒産の憂き目にあっているところが多くあります。一方、気働き・知恵を働かせながら、「顧客満足度」を高めることによって、業績を挙げているところもあります。  
 日頃、大学で経営戦略を説いている一人として、顧客満足度の大事さ、ロイヤル・マーケテイングの重要性を再認識した次第です。   (階戸)

 


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