朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-05/08/22)

 

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8月22日号(第177号)


 身近なビジネス 
「成長の節目」
 18日、任天堂が手のひらサイズの携帯用ゲーム機「ゲームボーイミクロ」を今秋発売すると発表しました。5×10センチの超小型サイズでゲームボーイアドバンスのソフトが使えます。ゲームボーイアドバンスには結構ヤングアダルトのファンも多いのですが、ボディーをアルミとし、iPodのように大人でも見かけよく持ち歩けるデザインのようです。
 任天堂は、1989年に創立された花札の製造会社で、1902年には日本ではじめてトランプの製造もはじめ1962年までは花札、トランプの最大手老舗でした。いわば、何もしなくても製品を作れば売れる安定したメーカーでした。
 しかし時代は高度成長期に入り子供の遊びも豊かなものに変わっていきます。普通の会社ならある程度他社で成功した商品(当時でいえば野球盤など)に品揃えを広げていきますが、任天堂は室内ゲームにこだわりつつも最先端の技術に挑戦しつづけ、77年には最初の家庭用ゲーム機「テレビゲーム15」を発売しています。まだ、パソコンも携帯も存在せず、インベーダーゲームブームの前です。ゲーセンのテレビ型ゲームと言ってもピンポンゲームくらいしかない時代に、家庭用を売り出してしまいました。80年には、新幹線の中でビジネスマンが電卓で暇つぶしをしているのからひらめいたヒット商品「ゲーム&ウオッチ」を発売します。任天堂を盤石の会社にしたファミコンの発売は1983年です。
 普通は任天堂のようには行きません。世の中が変わってきても、とりあえず困っていない(うまく行っている)ならばその仕組みに安住し新しいことに挑戦する意欲が衰えていくものです。その結果破たんした大企業や老舗がここ数年多く見られましたが、最近そこから立ち直る企業も目立ってきました。
バブル期の問題を克服した岐阜県内の優良企業の社長さんにお話しをうかがいました。「ある日突然明日もあると思っていた仕事が無くなってはじめて、今までの仕事のありがたさがわかりました。その時、問題から逃げなかったことで社長としての能力や社員の力量や資質が高まったと思います。でももしあの危機がなければ、新規事業に挑戦して伸びている今の会社はありえません。苦しい時期は節のようなもので、竹は節があるからこそ成長できるのだと思います。誰から育てられるわけでも教えられるわけでもなく、新規事業に挑戦することで人は成長し変われます。」
 大学生は子供から社会人に進化する大切な節目です。長い夏休み、いつもと同じに見える今日に飽きてきたら、はたまた成績や人間関係でピンチにいたら、新しいことに挑戦して成長するチャンスです。ビジネス企画学科の教員はそのサポートのためにいます。 (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「携帯音楽プレーヤーiPod」
 携帯音楽プレーヤーiPodを使ってみて‘なぜiPodが売れた?’という疑問が晴れました。
 私の学生時代は、30cmのレコード盤全盛の時代で、とても音楽を持ち歩くなどということはできませんでした。その後、カセットテープのウォークマンが発売され、自動車にもカセットテープが標準装備されるようになりました。しかし、音源は依然としてレコード盤です、レコードから好きな曲を選び編集してオリジナル・カセットテープを作ることが当時の若者の流行であり、センスを競う場でもありました。しかし、このテープを作るためには時間もかかるし、凝ったものを作ろうとするとコピーを繰り返すために音が悪くなってしまうというものでした。
 話をiPodに戻しましょう。当初私はiPodの様な携帯音楽プレーヤーは大ヒットに結びつかないと読んでいました。それは、パソコンのユーザーでなければiPodは使えない上に、パソコンの音楽をiPodにコピー、削除などのファイル管理が一般の人達には簡単ではないと考えていたからです。しかし、この疑問は「iTunes」と呼ばれるパソコンとiPodをつなぐソフトが全て解決してくれていました。パソコンにCDをセットするだけで自動的にiPodに音楽が転送され、ユーザーはiTunesにまかせていればOK、とても簡単、編集不要なのです。
 8月4日、米Apple社によるオンライン音楽販売店「iTunes Music Store」の開店発表が行われ、日本での音楽販売が開始されました。Appleはすでに米国でのオンライン音楽販売で成功を収めており、日本でのスタートが大きな関心を集めていました。
 日本でのオンライン販売は、Sony系の「Mora」「MusicDrop」そして、ポータル系の「MSN」「Excite」、携帯電話を音楽プレーヤーとするAU(KDDI)がサービスを行っています。しかし、日本の音楽権利が海外と比較すると複雑なこともあって、各々が扱う楽曲数が数万曲程度となっていました。ところが、Appleはスタート当初から100万曲という楽曲数を誇り1曲150円中心という価格設定で業界に激震が走りました。
 一つコンセプトが人々の価値観を変えてしまい、業界のシェアを激変させてしまいました、長い間低迷していたApple社は大躍進し、純利益で前年対比425%を上げました。
 オンライン音楽販売が日本の音楽業界を大きく替えていきます。今後レコード店、CDショップはどうなっていくのか大変興味深いテーマです。   (田村)

 今週の話題 

「作家・折口こうじん」
 
 インターネットで作者名「折口こうじん」を検索すると、「一人称・叱責」(文芸社)という書名が出てきます。今年の6月に出版された本です。ふとしたきっかけで私はこの本のことを知り、読んでみました。いま不思議な読後感に襲われています。この不思議な感覚は、私の学生時代に時々経験したあの感覚に近いものです。そうです、太宰治の「人間失格」を読んだ後、自分という存在について空虚感と焦燥感を同時に味わったような、あの時の感覚に似ているように思います。本の帯封にこんな言葉が添えられています。「陰鬱とした日常に隠れ潜む何気ない事柄の数々が、ぼくの深遠に鋭く食い込んでくる」と。日常を描きながら、人間の孤独な存在を根源的に捉え、自虐的な不思議な世界をつくり出している作者の異能ぶりに正直感嘆しました。
 自分の心の内面を表現することは、どんな作者にとっても難しいことだと思います。私は、やはり学生時代に、スエーデンが生んだ異才の映画監督イングマル・ベルイマンの作品に衝撃を受けたことがあります。中でも「野いちご」から受けた衝撃は格別でした。形而上的な人間の心の中を、こんなにも鮮やかに映像化して人に伝えるベルイマンの異能さに圧倒されたのです。四捨五入していえば、折口こうじん氏にもそれに似た不思議なチカラが供わっているように思います。姉から叱責された「ただ飯喰らい」という言葉に反応した主人公の自虐的な心の様子を通して、読む者をアンニュイ(倦怠)と自責の織り交ざった不思議な世界に誘ってゆく。まことに頼もしい作家が登場しました。将来を注目したいものです。   (横山)

 


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