朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-07/07/02)

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7月2日号(第274号)


 身近なビジネス 
「価値と価格のバランス」
 子供の頃列車に乗るときのお楽しみは駅弁でした。今のようにコンビニもなく、売り物の弁当自体が珍しかったこともあります。しかし多くの駅弁業者は駅構内での販売の独占権を持っていたことから、割高でありきたりなものに変わっていきました。経営努力をする必要があまりなかったのです。最近は駅でのビジネスチャンスを重視するJRの方針で、複数の業者に競わせて駅弁のバリエーションが増えていますが、わがままで贅沢なのにけちな僕を満足させてくれません。
 駅弁は大体1000円前後、コンビニやスーパーの弁当のお値段感覚からすると2,3割高く、冷めているのが普通です。そこで、名古屋から新幹線に乗る時は、駅構内のデパートの食品売り場でできたてのお弁当や惣菜を買うことにしていました。温かさは何よりのごちそうですし、値段もリーズナブルだからです。
 先日もいつものようにデパートに寄ると、イベリコ重という弁当を見つけました。イベリコ豚はスペインで育成されるドングリを食べさせた黒豚で、松阪牛や飛騨牛のようなブランド肉です。独特のフルーティな風味に特徴があり高いのですがこの弁当は1000円と割安、思わず買ってしまいました。しかし残念ながら新幹線の中でちょっと後悔してしまいました。頭では奮発しておいしいものを買ったつもり、でも食べてみると普通のやや貧弱な弁当。その落差にがっかりしてしまったのです。
 よく見るとこのお弁当色々と工夫したのだなとわかります。原材料が高いのに値段を抑えるため、付け合わせは春雨サラダと漬け物少々。そこで肉を蒲焼きにしてご飯の上にのせてあります。ただし、濃い味付けにするとイベリコ豚の風味が消えてしまいます。そこで、やや上げ底にしてご飯を少なめにしています。盛りつけるとボリューム面でもバラエティでもやや貧相になるので、イベリコ豚が色々なビタミンを含み森林放牧で育てられるといったボディーコピーがフタに大書されています。これは健康的でエコな弁当ですからと頭でも味わってもらおうというわけです。しかし工夫は裏目に出てしまいました。あまり売れないのか冷めていたのです。
 商品の価値がどこにあるかを見極めずに価格で勝負しようとすると、色々と工夫しても買い手には本来の良さが伝わりません。そのバランスをうまく管理できるかがロングセラーの分かれ目です。伊勢名物赤福は全国ブランドです。上質の餡で餅を固くならないうちに食べるおいしさが何よりのごちそうだからですが、この価値を守るために中京圏でしか売らないのです。    (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「インターネットと衛星」
 
 6月26日宇宙研究開発機構(JAXA)は超高速インターネット衛星(WINDS)のプレス向け公開を行いました。現在我が国のインターネットインフラは光ケーブルが主役の座を占めていますが、このような地上系のインフラでは対応が難しい僻地あるいは島嶼部で高速のインターネットの利用を可能とするとともに、災害時等地上系のインフラがダメージを負った場合の緊急対応手段としてJAXAは超高速インターネット衛星の開発・実験を進めています。WINDSは2007年度冬期の打ち上げが予定されている実験用衛星で、一般家庭で設置可能な小型衛星用アンテナ(直径40~50cm程度)を使って155Mビット/秒のデータ伝送が可能な仕様となっています。直径5m程度の大型アンテナを使用すれば1Gビット/秒まで伝送量をアップすることもできます。
  赤道上約36,000Kmの上空に打ち上げられた人工衛星は地球の自転と同じ速度で地球を周回し、地上からみるとあたかも静止しているように見えることから「静止衛星」と呼ばれます。今回公開されたWINDSもそのような静止衛星ですが、1機の衛星で日本全国および一部の東南アジア地域との通信が可能です。しかし静止衛星は高層ビル等衛星とアンテナの間に障害物がある場合には利用出来ないという弱点を持っています。この弱点をカバーするためには、衛星が8字形の軌道を描いて周回する「準天頂衛星」があります。この準天頂衛星の軌道上に複数の衛星を打ち上げると常に日本の上空に衛星が在る状態を作り出すことが可能となります。準天頂衛星の場合アンテナはほぼ真上を向くように設置すれば良く、ビルなどが障害物となることはありません。携帯端末あるいは車等の移動体で衛星を利用する場合にはこの準天頂衛星が適しています。JAXAがWINDSを使って進める実証実験の結果次第では衛星がインターネットインフラの重要なポジションを占めることになるかもしれませんね。
 ところで、JAXAでは「WINDSの愛称募集」を行っています。採用された愛称の応募者のうち抽選で1名には種子島で行われるWINDS打ち上げ見学招待が準備されています。締め切りは8月26日、興味ある人はJAXAホームページをチェックしてみてください。 
(妹尾) 

 今週の話題 

「トヨタの求心力」
 トヨタ自動車は6月22日の株主総会後の取締役会で、組織改正と取締役の新体制を決め、創業家出身の豊田章男副社長を国内営業担当に起用することにしました。トヨタは今年中にも米ゼネラル・モーターズ(GM)を抜き世界一の自動車メーカーになる見通しです。章男氏は豊田章一郎名誉会長の長男で51歳。国内営業担当への起用は、低迷する市場の活性化に全力を挙げる姿勢を示し、全国の販売会社を含めグループの求心力を高める狙いがあるようです。章男氏は品質保証担当も継続し、購入後の修理などを行うカスタマーサービス担当も兼務。品質対策をさらに強化するため、顧客の声を迅速に反映させる重責も担います。  
 トヨタには、72年間に渡って、経営の底流に流れ続けてきた「豊田綱領」があります。これはトヨタグループ発祥企業であるトヨタ紡織の創業経営者、豊田家初代・豊田佐吉翁の精神を1935年の6回忌に明文化したものです。いわばトヨタグループの企業憲法といえるものです。これがトヨタグループの大きな求心力となって、企業力の強さや今日の驚異的な発展の原動力となってきたと思われます。

 【豊田綱領】は次の内容です。
一、 上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし
一、 研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし
一、 華美を戒め、質実剛健たるべし
一、 温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし
一、 神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし

 歴代のトヨタのトップは、この「豊田綱領」を基本として経営にあたってきたといわれています。さらに、トヨタの求心力は豊田家にあるといわれています。豊田章一郎名誉会長は「豊田家出身だからといって社長になれるわけではない。トヨタは豊田家のものではない」しかし、「経営者としての才能があるのに、豊田家出身だからといって社長にしてはならないということはおかしい」とも言っています。
 豊田章男副社長が社長になるための帝王学は、最終段階に入ったと思われます。 
(亀井)

 


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