朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-07/07/30)

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7月30日号(第278号)


 身近なビジネス 
「姐(ねえ)さんの時代」
 最近中小企業の方から、良い人材が採用できないとのご相談をしばしば受けます。「優秀」といわれる学生が接することの少ない企業でどのように人を育て事業を託していくかは難しい問題で一般論では答えられませんが、しばしば身内か女性の活用をお勧めしています。身内は信頼関係を築きやすくその結果能力を伸ばしやすいし、女性は社会進出が進んだ今でも能力に比して割安に放置されており、ビジネスに長けた人を採用しやすいからです。  
 岐阜県内に有名な女性経営者が二人おられます。お一人は長年主婦をやられた後、ご主人が急逝され事業を引き継がれました。全くのビジネスの素人であったにもかかわらず、必死さに裏打ちされた鋭い質問力と、情に流されず本質を考え抜く決断力で事業を立て直されました。もうお一人は、20代から技術と情に厚い父上の事業を最初は運転手として手伝い、在庫管理で経理を立て直された後、父上の理念を継いで、金儲けでも施しでもない、心と経営技量の伴った介護事業を成功させました。深い他者への愛と、冷徹な経営者の感覚を併せもたれているNPO経営者は全国でも希有でしょう。お二人ともビジネスがやりたくて仕事の世界に入られたのではありませんが、ちょっと仕事ができると思っているビジネスマン程度ではとても太刀打ちできません。
 女性の仕事がお茶くみと決まっていた時代、優秀な女性は専業主婦になるしか道がありませんでした。50代の友人に聞くと、それぞれの出身学校の同期会はほとんどそのようなデキる専業主婦が仕切っているようです。時は流れて最近の若い女性のあこがれは専業主婦という声も聞こえてきます。多くの女性が安い単純労働ででも働かざるを得なくなっているようです。これは経営者にとってはチャンスです。
 意欲のある女性が職場に入ると、概ねその女性より年配者は懐疑的ですが、若手は活性化します。私が一緒に働いた女性も若手からは「姐(ねえ)さん」と慕われ、仕事の悩みも恋の悩みも相談されていたようです。今時の年配者が苦手な若手との対話役ともなってくれるのです。
 もちろん「姐さん」役は精神的に大変だとは思いますが、頼る側だけでなく頼られた側の表情は生き生きしており、調整力やリーダーシップもめきめき向上します。あとは難しい仕事を与えれば、やり甲斐を感じて自然に成長していきます。と、経営者の方には勧めています。
 「ハケンの品格」の大前春子さんや、「精霊の守人」のバルサ姐さんのような女性は、同性から見ても素敵に見えるのではないでしょうか。採用される側である学生の皆さんもペットのような癒し系のアイドルより、仕事を楽しめるように自然に成長できる姐さん系を目指してみてはどうでしょう。東南アジアで女性が管理職としてバリバリ働いていない国は、日本と韓国だけです。   (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「新しいコミュニティー形成」
 
 2004年にスタートした日本国内向けのソーシャル・ネットワーキング・サービスMixiの利用者数が1000万人を超える状況となっています。ビジネス企画学科の学生でもかなりのMixiファンがいるようです。Mixiの目指すところは、「インターネットを利用して人と人とのコミュニケーションの輪を拡げ、日記・コミュニティー等を楽しむ(Mixi笠原社長の言葉を要約)」という、これまでのインターネット利用形態とは異なったところにあります。これまでは主として「企業(ビジネス)対個人」という関係が強かったインターネット社会に「個人対個人」の関係を通して「コミュニティー」を作るという新たな方向性が示されています。またMixiと同様に人気のあるサイトにYou Tubeがあります。こちらも2005年にサービスを開始し、昨年末にはグーグルが買収して傘下に収めた動画投稿用サイトですが、既に日本国内の月間利用者数は1000万人を超えるとみられています。You Tubeもまた、個人の作成したビデオ作品を通して「自分自身を外の世界に発信」し、それを通じてコミュニティーを形成するというMixiと同様の方向付けがあるように思います。  
 このようにインターネットは居住場所・お互いの距離といった物理的な制約を取り除きいままでとは異なったコミュニティーを形成し、ひいては新たな「文化」を作り上げていくインフラとして大きな可能性を持っています。しかし、現在のインターネット社会ではお互いのコミュニケーションは主として「文字」で行われ、お互いの顔、声といった「感情」を表現する部分が欠落しています。最近、若者たちの携帯電話利用の多くはメールであり、本来の電話としての利用は少なくなっているとの調査結果もでていますが、やはり文字のみでは伝えられない感情があるように思います。若者たちがメールに絵文字を利用するのは代替的な感情表現の方法になっているのかもしれませんね。  
 インターネット上のコミュニティーに本当の意味での会話(感情を伝える会話)を持ち込むには・・・。これからの課題になりそうです。   (妹尾)

 今週の話題 

「国内自動車全工場が生産停止」
 7月の台風としては最大級の台風4号が、九州南部を直撃した直後の16日に、新潟県中越沖地震(M6.8, 震度6強)が発生しました。柏崎市を中心に中越地方で死者11人、負傷者1000人を超え、避難した人は10000人を超える大きな災害となりました。直接の被害は中越地方でしたが、その影響で国内の自動車メーカー・トヨタ、日産、ホンダ等全12社の全工場が生産を停止する事態が発生しました。自動車部品メーカー・リケンの柏崎にある工場が被災し、部品供給が途絶えたため19日夕から週末をはさんで23日まで、実質2日半の間、全自動車メーカーの工場が停止しました。  
 自動車は3万点から4万点の部品から構成されており、その一つが欠けても組立作業が完成しません。リケンはエンジン用のピストンリングと変速機用のシールリングという部品を生産しています。掌にのるような小さな部品ですが、自動車の心臓部に欠かせません。しかもリケンはピストンリングで業界の5割、シールリングで7割のシェアを持っています。日本の自動車業界は年間出荷額がおよそ50兆円で、国内総生産(GDP)の10%を占める最大の産業です。一つの部品メーカーの生産停止によって、50兆円産業の全工場が生産停止に追い込まれるとは驚くべきことです。  
 日本の自動車産業はグローバルな競争にさらされて、今では世界一の生産効率を築き上げています。それを支えるトヨタ生産方式のジャストインタイムの考え方を全メーカーが実施していることを、あらためて実感しました。部品調達が切れると生産全体に波及することは、ジャストインタイムの弱点です。この点は災害や事故のたびに指摘されてきました。しかし、非常時に備えて余分な在庫を抱えていては世界との競争力低下を招きます。どう被害を最小限に抑えるか。この一点に各社は照準を合わせリスク対策に磨きをかけてきました。リケン工場の復旧作業では、トヨタを中心に自動車メーカーが700名を超える応援部隊を送り込み、完成車と部品の両メーカーによる「運命共同体」の関係が早期復旧の原動力となりました。  
 「いかに止めないかよりも、いかに再開させるか」この言葉どおりに短期間の工場停止で、影響を最小限に食い止めた危機対応力は、すばらしい競争力だと思います。(亀井)

 


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