朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-07/12/17)

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12月17日号(第298号)


 身近なビジネス 
「ビジネスの原点2」
 この一年間で三度も中国に行きましたが、そのたびに新しい発見があります。今回は血の池地獄のような真っ赤なスープでひきたてられたナマズの淡泊な旨さを堪能しました。茶館では地元の人が友人とお茶や料理をつまみながら、おしゃべりや、麻雀に興じて何時間も過ごしています。音叉のような道具を持った職人が巡っていて、耳かきをしてもらうと天にものぼる快感だそうです。中国の人たちは、生活を楽しむ達人です。  
 早朝ホテルを抜け出し公園を散歩すると、太極拳を舞う人たちや、ガビチョウ(画眉鳥)の鳴きあわせを楽しむ老人たちで一杯です。良い声で鳴くように鳥を訓練する仕事は、農村の若い女性の収入源だと、近寄ってきた初老の男性が日本語で教えてくれました。  満面の笑顔で話しかけるその人は、中国の政治や経済の実情、日本との違いを問わず語りに教えてくれます。自分は美術の教員だと言って名刺を差し出し、中国では日本と反対に医者と教師の給料は安く、通訳の仕事でもあればお金になるのにねと笑います。言葉の通じない国で日本語を聞くと、異国での緊張感が薄らいでいくのを感じ、優しい気持ちになるのが不思議です。
 そのうちやおら紙をとりだし、はさみで何か切り出しました。切り終わると僕の似顔絵で、ここであったのも何かのご縁だからこれをもらってください、と言うのです。ああこれは、お金が欲しいのだな、と思いながら話を聞いていると、後ろから一人の中年の女性を呼び、「彼女は私の恋人だが、日本に留学したがっている。彼女に少しカンパをしてもらえませんか。」とささやきます。さわやかな声で「昨日この公園で出会った日本人の老夫婦は100元カンパしてくれました。」と付け加えます。
 旅行者につけこむ商売のようにも見えますが、彼の腕前なら路上で作品を売ってもある程度は売れるでしょう。むしろここには商売の原点、人間の心をつかむ工夫があふれています。他人の判断に影響力を与えるには、返報性(ギブアンドテイク)、一貫性、社会的証明、好意、権威などが効果的と言われています。異国で親切にしてもらえばお返しをしたくなりますし、名刺を差し出すことは自分に社会的な自信があることともとれます。一貫したくったくのない笑顔には好意を感じますし、学校の先生(らしい…)。
 しかし、何よりも僕を動かしたのは、彼が生活を楽しみながら、文字通り相手の言葉でしゃべったことです。同じ日本人同士でも思考方法やものの感じ方は違います。それを捉まえて相手の感覚で話ができれば、商売は半分成功したようなものです。
 彼女に喜んで切り絵に見合った20元ほどをカンパして、商売のすばらしいサンプルを示してくれた彼と握手で分かれましたが、日本人の多い場所で1日5人と知り合い言い値でカンパしてもらえれば500元、20日ほど公園にくれば月1万元(約16万円)、現地の人たちの平均的月収の2倍以上です。     (岩崎)
 パソコンで遊ぼう 
「年金の名寄せ作業」
 
 年金の名寄せ作業が難航しています。迷子になっている5,000万件の内、1,975万件が宙に浮いたままの状態で、内945万件については事実上不可能ではないかとまで言われています。野党は「年度内に最後の一人までやりとげると公約したではないか」と与党攻撃の材料にし、一方の与党は「いやいやそれは心意気を示したまでで・・」と苦しい弁明を行う状況をみて苦笑いしているのは私だけではないでしょう。この問題は10年前にそれまで別々に管理されていた国民年金、厚生年金、共済年金を一元管理するために基礎年金番号制度が導入された時に始まりました。それまで別々のデータベースで管理されてきた膨大な量のデータが一つのデータベースに移管されましたが、1人で複数の年金番号を持つ人もあり、2億件の迷子データが発生したと報じられています。その後のデータ突合せ作業でその件数は減ったもののデータ内容の間違いや不備のために特定が難しいものが5000万件残っているというのが今回の名寄せ作業開始時点での状況でした。この5000万件を半ば放置してきた社会保険庁の怠慢は責められなければなりませんが、実はこの作業は膨大な「人力」を必要とする作業です。政府は「名寄せ作業用のコンピュータプログラム」の導入を試みましたが、IT分野の専門家の中には、「今回の名寄せをコンピュータで処理するのは不可能」と明言する人もいました。私も企業で働いていた時に新しいコンピュータシステムを立ち上げた時の経験から、データの不備や入力ミスを特定する作業がそんなに簡単にできるとは思いません。最後には一つ一つのデータを人の目で確認しながら特定作業を進めなければならずいやになるほどの長い時間を必要としました。本当に国民のことを考えるならば、今回の年金問題をくだらない政争の具にするのではなく1件でも多くの迷子を減らすよう与野党が双方の知恵を出し合って根気強く名寄せ作業を続けていくことを願っています。     (妹尾)

 今週の話題 

「トヨタの3つの『シンカ』」
 
 今年トヨタ自動車は、会社創立70周年を迎えました。そして、07年自動車生産台数で、米ゼネラル・モーターズを抜いて、世界No.1になることが確実です。この時期に、トヨタは将来を見据えて、新たなスタートを切るために「トヨタグローバルビジョン2020」を策定したので、ご紹介します。  
 2020年を見据え、今一度、自然と産業との関係を見つめなおし、「自然循環」と調和した「産業連環」の原動力となることを使命とし、今回のビジョンを貫く志としました。トヨタは創業以来のチャレンジ精神など、これまでの企業文化に更に磨きをかけ、絶えず変わり続けていく必要があります。そこで、これからも強みとして追求していくべきテーマを3つの「シンカ」として揚げました。
 1つ目は未知の領域に進むための技術と技能の「進化」です。トヨタは、自然と産業の調和を目指し、これからも幅広い領域で技術と技能のあくなき革新・カイゼンを重ねていきます。2つ目のシンカは、トヨタ全体を1つの心で結ぶための人づくりの「深化」です。企業の発展の源である人材の活躍の場を広げ、組織力を追求していきます。3つ目は、トヨタの企業としての「真価」です。商品に新たな価値と質を追求して、新しい市場を拓き、商品を広め、トヨタの価値を社会に問いかけていきます。
 そして、今後取り組むべき商品・事業として、「環境」「エネルギー」「安全」「快適」を共通のテーマに「クルマの進化」と「新しい分野での進化」のエリアで、それぞれ次の3つを取り上げました。まず「クルマの進化」では、①ハイブリッド技術の全モデル展開   ②高度な運転支援システムの実用化 ③次世代モビリティの実現とモビリティ都市の提案。「新しい分野での進化」では、①人と共生するパートナーロボットの実用化 ②次世代電池の事業化 ③バイオ技術の確立とバイオ資源普及の牽引です。  
 さらに、トヨタはどのような企業になっていくのか。それは、一言で言うと「町いちばんの企業」、つまり「町を愛し、みんなに慕われ、将来を分かち合う企業」です。「町いちばん」になるために、一人ひとりが地球上のあちこちで努力を重ねていけば、いつか「地球でいちばんの企業」になれるはずです。    (亀井)

 


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