朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-08/01/14)
パソコンで遊ぼう |
「ネット対応TV」
地上波のアナログ放送終了をひかえたTV受像機の買い替え需要にむけて、わが国の家電業界は薄型・大画面競争の真只中にいます。このような状況の中、ラスベガスで開催されているコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)の基調講演で、松下電器産業が米国のグーグル社と提携して「ネット対応TV」の商品化を行うと発表しました。グーグル社は2006年に同じく米国のユーチューブ社を買収してインターネット上での動画配信サービスに力をいれています。インターネットでの動画配信サービスについては学生の皆さんのほうがよく知っていることと思います。学校の休憩時間に、机の上のパソコンで動画共有サイトから配信される映像を楽しんでいる姿をよく見かけます。松下電器産業の狙いは、グーグル社の持つ膨大な映像コンテンツ(動画・静止画)の視聴が可能となる機能を付加することによる自社製品の付加価値アップと売上拡大です。他社との商品差別化が困難な状況の中での今回の発表ですが、少々きつい言い方をすれば松下電器産業の「苦肉の策」といっても良いかもしれません。というのも、現在インターネット上の動画配信は、ある程度パソコン利用に習熟した人達が個人的な興味・趣味でコンテンツを選択して楽しんでおり、これらの人達が「ネット対応TV」の利用者になるかどうかに疑問があるからです。約3年前の調査結果では、パソコンユーザの48%は「TV機能付パソコン」を希望しており「ネット対応TV」を希望しているユーザは20%にとどまっています。 松下電器産業の狙いが当たるかどうかは、家族が一緒にTVで楽しめるようなコンテンツをグーグルが提供できるかどうかにかかっているといっても過言ではないでしょう。このためには著作権問題という高い壁を乗り越えることも必要です。インターネットを介したTV放送自体は魅力あるテーマであるだけに、将来に向けた着実な進展があることを期待したいと思います。 (妹尾)
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今週の話題 |
「車の安全性」
昨年の全国の交通事故死者数が、前年比609人(9.6%)減の5743人で昭和28年以来、54年ぶりに5000人台となったと警察庁が発表しました。7年連続の減少であり、1990年頃のピーク時には11000人を超えた死者数が半減しました。飲酒運転の罰則を強化した改正刑法が昨年6月に、改正道交法が9月にそれぞれ施行され、飲酒事故への社会的な関心が高まったこともありますが、車の安全性の向上が大きく寄与していると思います。 自動車の安全技術には「パッシブセーフティ(衝突安全)」と「アクティブセーフティ(予防安全)」の2つの考え方があります。事故による死者数の減少はシートベルト、エアバッグ、衝突安全ボデー等の事故による被害を最小限に抑えるパッシブセーフティの安全技術が普及した効果と思われます。 今後の焦点はアクティブセーフティの目標である「事故を起こさない車」になります。自動車各社は車載センサーやIT(情報技術)を活用し、事故ゼロの車社会を目指しています。――目の前の信号は赤。だが、よそ見をしていた運転者は気付かない。車は減速することなく交差点に近づく。あわや大事故と思った瞬間、車は自動的に減速し、交差点前で止まった。―― トヨタ自動車は、車と道路に設置された道路交通情報通信システム(VICS)などのインフラ機器や歩行者が通信することで、交通事故を未然に防ぐ「インフラ協調システム」の実験を続けています。インフラとの連動だけでなく、車載カメラやレーダーを駆使して、車両前方の危険を認識、回避する車の開発も進んでいます。 ESC(横滑り防止機構)は急なハンドル操作時や滑りやすい路面を走行中に、車両の横滑りを感知すると、自動的に車両の進行方向を保つように車両を制御します。ESCのコンピューターの指令に基づいて各車輪に適切にブレーキをかけて、車両の進行方向を修正、維持します。 「交通事故ゼロ」は自動車業界の永遠の課題です。その実現に向けた技術開発に期待しましょう。 (亀井)
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