朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-08/01/14)

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1月14日号(第302号)


 身近なビジネス 
「グレーの重要性」
 風邪をひき灰色の寝正月を過ごしましたが、年末年始のテレビ番組のつまらなさに改めてびっくりしました。単発的なお笑いの羅列、ワイドショー化したニュース特番、絶叫アナウンサーによるスポーツ中継、ベタなドラマ、これではテレビ離れが進むはずです。  
 特にワイドショーニュースでは、善玉と悪玉にはっきり色分けされた勧善懲悪の世界が展開しています。キャスターが声高に世の不正を追及し、悪玉と目された人を叩きまくります。反論しても編集で悪玉部分を強調し、感情のおもむくままにみんなの感じる正義の実現を求めます。ゴメンナサイ、を言わない人は悪玉で、言ってもすぐに忘れ去られて次の悪玉捜しが始まります。世の中には、白と黒しかないかのようです。  
 食品偽装が話題になった昨年、金儲けのために信頼を裏切った悪玉企業への非難が集中しました。しばらく時間がたち感情的な高ぶりが収まるとポツポツ多面的な真実に触れた報道が雑誌などに出てきますが、あまり読まれていないようです。  
 最近の記事をつぶさに読むと、赤福の偽装事件の背景は食品衛生法上の安全を犠牲にして利益をあげようとしただけとは言い切れず、JAS法の製造日の定義をよく知らなかったことと、昔からの菓子職人に引き継がれていた食べ物を粗末にしない精神も影響していたようです。需要の変動に対応するため味が落ちない安全な冷凍技術を30年前に開発しながら、そのことを公表せずに作り立てを強調するため解凍日を製造日にしていたこと。また、残った餡を新しい餡に少量混ぜて炊き込むと味も品質も落ちないことは法律ができる以前からの菓子職人の常識で、「もったいない」精神から生まれたものであるにもかかわらず、そのことを法律に照らして調整することを怠っていたことなどです。  
 もちろん現行法規上問題である点は言い逃れできませんが、本来情報を公開して法的な適応が可能なように、グレーな中で対処を練り上げていれば避けられた問題です。社会とのコミュニケーションの取り方とタイミングがうまければ、むしろ環境にやさしい製造方法を模索する企業として好意で迎えられたかも知れません。  
 しかし、結果は厳しいバッシングを受け企業としての存亡さえも危うくされてしまいました。さらに折角磨き上げた冷凍技術も設備も、全て廃棄することが決まったそうです。日本全体がそのほとんどを輸入食料に頼っている現状を考えれば、このような技術の放棄は、赤福にとってのみならず、社会にとっても損失かも知れません。  
 現実の社会は「良いこともし、悪いこともする人間」の集まりです。一人一人が黒白ではなくグレーなのです。グレーの社会で生きていくには、テレビのような善玉悪玉のレッテルには頼れず、昔以上に自分の頭と行動で考え、幸せと信頼を判断する必要があります。個人の生活でもビジネスでも、グレーをグレーのまま煮詰める努力の仕方を知っていることと、感情のみを刺激する極論には疑いを持つ精神が重要です。     (岩崎)
 パソコンで遊ぼう 
「ネット対応TV」
 
 地上波のアナログ放送終了をひかえたTV受像機の買い替え需要にむけて、わが国の家電業界は薄型・大画面競争の真只中にいます。このような状況の中、ラスベガスで開催されているコンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)の基調講演で、松下電器産業が米国のグーグル社と提携して「ネット対応TV」の商品化を行うと発表しました。グーグル社は2006年に同じく米国のユーチューブ社を買収してインターネット上での動画配信サービスに力をいれています。インターネットでの動画配信サービスについては学生の皆さんのほうがよく知っていることと思います。学校の休憩時間に、机の上のパソコンで動画共有サイトから配信される映像を楽しんでいる姿をよく見かけます。松下電器産業の狙いは、グーグル社の持つ膨大な映像コンテンツ(動画・静止画)の視聴が可能となる機能を付加することによる自社製品の付加価値アップと売上拡大です。他社との商品差別化が困難な状況の中での今回の発表ですが、少々きつい言い方をすれば松下電器産業の「苦肉の策」といっても良いかもしれません。というのも、現在インターネット上の動画配信は、ある程度パソコン利用に習熟した人達が個人的な興味・趣味でコンテンツを選択して楽しんでおり、これらの人達が「ネット対応TV」の利用者になるかどうかに疑問があるからです。約3年前の調査結果では、パソコンユーザの48%は「TV機能付パソコン」を希望しており「ネット対応TV」を希望しているユーザは20%にとどまっています。  
 松下電器産業の狙いが当たるかどうかは、家族が一緒にTVで楽しめるようなコンテンツをグーグルが提供できるかどうかにかかっているといっても過言ではないでしょう。このためには著作権問題という高い壁を乗り越えることも必要です。インターネットを介したTV放送自体は魅力あるテーマであるだけに、将来に向けた着実な進展があることを期待したいと思います。    (妹尾)

 今週の話題 

「車の安全性」
 昨年の全国の交通事故死者数が、前年比609人(9.6%)減の5743人で昭和28年以来、54年ぶりに5000人台となったと警察庁が発表しました。7年連続の減少であり、1990年頃のピーク時には11000人を超えた死者数が半減しました。飲酒運転の罰則を強化した改正刑法が昨年6月に、改正道交法が9月にそれぞれ施行され、飲酒事故への社会的な関心が高まったこともありますが、車の安全性の向上が大きく寄与していると思います。   自動車の安全技術には「パッシブセーフティ(衝突安全)」と「アクティブセーフティ(予防安全)」の2つの考え方があります。事故による死者数の減少はシートベルト、エアバッグ、衝突安全ボデー等の事故による被害を最小限に抑えるパッシブセーフティの安全技術が普及した効果と思われます。  
 今後の焦点はアクティブセーフティの目標である「事故を起こさない車」になります。自動車各社は車載センサーやIT(情報技術)を活用し、事故ゼロの車社会を目指しています。――目の前の信号は赤。だが、よそ見をしていた運転者は気付かない。車は減速することなく交差点に近づく。あわや大事故と思った瞬間、車は自動的に減速し、交差点前で止まった。―― トヨタ自動車は、車と道路に設置された道路交通情報通信システム(VICS)などのインフラ機器や歩行者が通信することで、交通事故を未然に防ぐ「インフラ協調システム」の実験を続けています。インフラとの連動だけでなく、車載カメラやレーダーを駆使して、車両前方の危険を認識、回避する車の開発も進んでいます。  
 ESC(横滑り防止機構)は急なハンドル操作時や滑りやすい路面を走行中に、車両の横滑りを感知すると、自動的に車両の進行方向を保つように車両を制御します。ESCのコンピューターの指令に基づいて各車輪に適切にブレーキをかけて、車両の進行方向を修正、維持します。  
 「交通事故ゼロ」は自動車業界の永遠の課題です。その実現に向けた技術開発に期待しましょう。     (亀井)

 


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