朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-08/05/05)

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5月5日号(第318号)


 身近なビジネス 
「経済学の上の狼と香辛料」
 涼宮ハルヒに続き、友人に恐るべきライトノベルを紹介されました。「手術台の上のミシンとコーモリ傘」と同じくらい変な取り合わせ『狼と香辛料』という愛と冒険がビジネスを生み出していく物語です。  
 商人の基本は、安く買って高く売ること。中世ファンタジーの設定の中、貿易商人の若者が一人旅の寂しさに耐えきれず知り合ったパートナーと、様々な商いを経験していきます。貿易と外国為替(通貨)、需要と供給、買い占め、規制と自由化、バブル、垂直統合、仕手戦と情報など経済学、経営学では必ず取り上げられる話題が、ホンモノのツンデレ小説の中に同居して、リアルなビジネスの面白さを実感させてくれる教養娯楽ノベルです。  
 第一巻で取り上げられるのは貨幣です。日本人には一つの通貨が当たり前でなじみの少ないものですが、ヨーロッパや南米の人たちにとっては複数の通貨でどれが儲かるか考えるのは、賭け事ではなく日常生活そのものです。25年前、自国通貨ペソよりドルを信用するアルゼンチンでは、毎時間変動するドルの交換レートが今いくらか、町中のオトナも学生も知っていました。うまくやると安いときにドルを買い(ペソを売り)、高いときにドルを売る(ペソを買い戻す)という交換をやり続けるだけで一儲けできるからです。他人が気づかない価格変動の先触れをみつければ、大もうけできます。私もブエノスアイレスの映画館の入場料がほぼ1ドル相当のペソにやや先行することに気がついて、売り買いのタイミングを計りました。  
 通貨は経済の基本ですが、日本人以外が当たり前に経験している通貨の特性を日本人が体感していないことは、日本人がだまされやすいと言うことにもなります。現在世界の金融の考え方は通貨から信用にシフトしてきていますが、通貨を知らずに信用のなんたるかを理解することは更に難しいでしょう。啓蒙ライトノベルで通貨のイメージを磨くことは、僕たちにとって有益かつ有効な手段です。  
 小説の内容は現在の経済というより、重商主義時代の古い取引のようにも見えますが、市場主義と主権者のせめぎ合いという意味では、十分現代的なケーススタディともなり得ます。ツンデレのコミュニケーション的意義も含めて、授業で使ってみたくなります。    なおこのネタは2月から温めていたのですが、先週読売新聞に同じ狙いの書評が出てしまいました。このコラム自体が仕込みは良かったのに売り時を間違えた実例、商売はタイミングが大切という5巻6巻のテーマそのままになってしまいました。もっと面白くなるネタだったのに投げ売りです。トホホ…     (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「竹が繊維に」
 
 久しぶりにウィンドウショッピングを楽しんでいると、とても気に入ったジャケットを見つけました。光沢感があって、手触りは麻に近くサラッとしていて軽く、とても通気性が良いとのことで、素材を聴いたところ「竹」との答えに大変興味を持ちました。
 先日テレビで見た自動車部品等向け「竹繊維入り強化樹脂」という情報と併せて化学繊維・合成樹脂といった石油を原料としてきた業界が「竹」という再生可能で成長が早く、環境にも優しいエコロジー素材に着目し研究を進めていたことに日本の底力を感じました。  インターネットで調べてみると、私が気に入ったジャケットは「ユニチカテキスタイル株式会社」が開発した素材「藍竹」で、2005年に発売された天然の竹繊維100%を原料とするもので清涼感あふれる風合い、天然の抗菌効果などの特徴が有っていくつものブランドから商品化されていることを知りました。
 また、自動車部品等向け「竹繊維入り強化樹脂」事業化のコア企業である日棉化学工業株式会社のホームページの技術情報を見ると木粉や竹繊維からプラスチックに替わる新素材の現状を見ることができます。残念ながらユニチカの商品は原料の竹を中国から調達していると書かれていましたが、日本の竹を材料としてきた竹細工などの人手がかかる仕事が中国に取られてしまい、需要を失った竹林が里山の景観を壊し始めているのです。
 森と水の岐阜県の将来は、石油製品である化学繊維・合成樹脂から脱皮しエコな国日本の、天然繊維・天然樹脂の供給県として人工林は整備され、美しい里山の風景と大自然が脚光をあびる、というストーリーは美しすぎでしょうか。     (田村)

 今週の話題 

「振り込め詐欺」
 新学期がスタートして、ひと月が過ぎました。学生の社会生活にも、多くの危険が忍び寄って来ます。そのひとつに、振り込め詐欺があります。
 振り込め詐欺の被害が後を立ちません。手口はますます巧妙化し、裁判所、税務署、社会保険事務所などに成りすますなど、国家の信用すら揺るがしかねない、深刻な事態になりつつあります。しかし、対策面では、被害者への注意喚起や、銀行のATMでの水際対策が目立つ程度で、あまり効果をあげていないようです。
 そもそも、振り込め詐欺は刑法の詐欺罪となります。詐欺請求の葉書等が発送された時点や電話をかけた時点で、犯罪の実行行為の着手があったと認められます。犯罪の実行着手の後、結果的に犯罪目的が達成されなければ、犯罪は未遂となります。詐欺罪は、未遂も罰せられるので、この時点で、少なくとも詐欺未遂罪が成立していることになります。
 ところが、膨大な詐欺請求の数に比べれば、振り込め詐欺の検挙数は、限りなくゼロです。なぜなら、警察や消費者センターでは、これらの疑わしい請求や電話を受けたら、請求を無視して請求に応じないように、国民に呼びかけているからです。
 金銭的な犯罪を計画的に行おうとする場合、見込まれる利益と検挙されるリスクとを天秤にかけるものです。詐欺グループからみれば、騙されない人は犯罪行為を見逃してくれて、騙された人からはお金を詐取することができるというように、とても都合のよいリスク回避の仕組みが出来上がっているのです。
 これに対して、わが国の戦時中の密告ではありませんが、疑わしい電話や請求があったときに、警察へ通報することが当たり前に行われるようになれば、詐欺グループにとって、検挙されるリスクが著しく増大します。そうなれば、振り込め詐欺は急速に減少させることができるかもしれません。課題としては、通報が急増した場合に、警察の要員が不足する可能性があることです。
 被害から逃れようとするだけでは、抜本的な対策は見つかりにくいものです。相手側の性格や思考、行動パターンを読み、相手者になりきって考えてみることで、効果的な打ち手が見えてくるものです。逆に詐欺グループは、これを徹底的に実践して、成功している例であるともいえます。    (横井)

 


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