朝日大学ビジネス企画学科~Column(コラム-08/06/02)

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6月2日号(第322号)


 身近なビジネス 
「お宝鑑定団」
 『開運!なんでも鑑定団』という番組をご存じの方も多いでしょう。家にある骨董を専門家が鑑定し、意外な高値に驚いたり、がらくただったり。あんなのだったら家にあるかもという驚き、あのおじいさんほど間抜けじゃないなという優越感がなかなか楽しい番組です。イギリスに同種の番組がありそれが原型かも知れませんが、そちらで出品される品々の鑑定額はたかだか数十万円程度、日本の番組では数千万円の品もある点で、面白さは日本に軍配が上がります。  
 さて、ここでお宝を鑑定するのは専門家、いわゆる「目利き」と呼ばれる人たちです。彼らは、趣味であるいは仕事でたくさんの商品を何回も取り扱う事で、商品の知識を深め、同時に商品独自の美しさや、真贋の違いについての感覚を磨き上げた人たちです。この目利き感覚を持つことが、お宝鑑定だけでなく社会生活でも大変重要になります。  
 30年前の銀行には、支店全体の一日の取引勘定を集計して現金とあわなかったときに即座にどこで間違いがあったのかを推測できる主計の達人や、正式な商取引の裏付けのない手形(一種の詐欺)を見つけだせる融資の鉄人がいました。彼らに聞くと、「あの時間の窓口は込んでいて、受付嬢の態度がいつもと違った。」とか、「普通の手形よりちょっときれいに感じる。」とか何かしらの勘が働くと聞かされました。
 スポーツをやったことがある人なら、ボールの動きや、ボールのないところでの選手の動き、一本となるかならないか、などが未経験者よりよく見えていると感じることがあるでしょう。あれと同じです。つまり、ビジネスを学びビジネスの目利きになるためには、理論の学習だけではなく現場での体験が絶対に必要です。このため、企業内の研修制度ではオンザジョブトレーニングが重視され、ビジネス企画学科では実体験や見学を多く取り入れています。
 先週は、組織構造の基本要件を学んだあとで、1年生全員でトヨタの工場見学に出かけました。分業とルール化、伝達協議の独自ノウハウで、一台一台異なる数万点の部品をミスなく効率的に組み立てる工場は、ビジネスにとってのお宝の山でした。今後も機会があれば学生時代に色々な現場を見てもらいたいと思います。さて学生諸君はどのくらいお宝を発見できたでしょうか? 今週の宿題レポートが楽しみです。たとえ見つけたのががらくたであっても大丈夫。そうやって何かに注目する経験が目利きになるために必ず通らなくてはならない道なのです。    (岩崎)

 パソコンで遊ぼう 
「サマータイム」
 
 我が国でもサマータイム制を導入しようと、超党派での議員さん達の会合が開かれました。サマータイム制というのは、日照時間が長くなるこれからの季節には時刻を1時間進めてやる制度です。省エネ、仕事が終わった後でもまだ外が明るいことから余暇の活用等、サマータイム制導入の期待効果はいろいろとありそうですが、これまでも何度かサマータイム制導入の話が持ち上がりながら我が国の実情に合わないと立ち消えになってしまった経過もあります。
 以前、私が駐在していた米国ではサマータイム制が採用されています。4月の最初の日曜日の真夜中になると時計を1時間進めます。そして10月の最後の日曜日の真夜中に、今度は時計を1時間遅らせてやります。(現在はこの期間がさらに拡大されたようです)つまりサマータイムが始まるとこれまでの午前7時が午前8時になります。朝の起床時刻が1時間早くなり、体内時計を修正するのにしばらくかかります。4月、10月の切り替え時には、新聞やテレビニュースで時計の時刻変更についてのお知らせが行われますが、それでもついうっかりとしていて、サマータイムへの切り替え当日出張のために飛行場に行ったところ乗るべき飛行機は既に出発した後・・という笑えない話もありました(当事者は私ではありませんよ)。
 個人的にはこの程度のことで済みますが、社会全体の活動時間が変わる影響はもっと大きなものがあります。特にコンピュータシステムでタイマー設定を行っている場合、対応には慎重を期す必要があります。銀行のシステムトラブル等が発生する可能性は無いのか、十分な事前検討が求められるでしょう。
 しかし心配ばかりしていては物事は進みません。一度サマータイム制を実施してみるのも良いんじゃないかな・・・というのが私の考えです。    (妹尾)

 今週の話題 

「大規模災害」
 5月12日に発生した中国四川大地震では、大変多くの犠牲者、被災者が生じ、未だに多くの行方不明者がいることに、大変、心が痛みます。当大学では、発生直後から、中国からの留学生に、担当教員を通じて家族の安否確認を行っています。
 ところで、災害や大事故などでのマスコミ報道で、いつも気になることがあります。被災者の数が、時間を経過するごとに更新されていくのですが、このとき、『犠牲者がさらに増え、○○○人になりました』との表現を耳にします。日本のメディアは、遺体として発見された段階で、死者数を加算して、「増える」と表現するのが通例のようです。おそらくは、生存の希望を持つ親族らへの配慮によるものではないかと思われます。
 しかし、行方不明者が遺体で発見されることと、生存していた人が新たに死亡することとは、まったく同義ではありません。「犠牲者が増える」という表現は、後者の意味で用いるのが一般的だと思われます。
 兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)のとき、首相へ報告された犠牲者の数が、当初は、わずかな数で報告されたものが、時間を追うごとに飛躍的に増えていきました。政府は、当初それほどの大災害であるとの認識ができず、結果的に、対応が遅れ、被害を拡大させたと評する向きもあります。
 また、2005年4月25日発生のJR西日本の福知山線脱線事故のケースでも、事故発生当初、JR関係者は事故の規模を把握しきれず、対応に混乱を来たすことになりました。当初の報道では、十数名の犠牲者と伝えられていたと記憶しています。
 このような犠牲者を漸次増やしていく捉え方や伝え方は、いま自分たちが見えている範囲だけに注目し、災害の全体像を認識できない状況に陥らせる危険があります。
 福知山線脱線事故のとき、私は、最初の報道に接して、まず、想定されうる最大の犠牲者は何人であるかを計算しました。7両編成で1両当たり約100人の乗客がいたとすれば、総計700人となります。そこから、生存が確認された人数を差し引くことで状況を認識すべきで、その状況の中で行うべき対応策は何かを考えました。このように大規模な災害等では、まず最大でどの程度の規模の犠牲者が想定されるのかを考え、無事が確認された人数を差し引くことで、最悪の状況に対応できる心構えができます。災害規模は、足し算ではなく、引き算で考える習慣を身につけることが、危機対応に役立つのです。報道においては、「死亡が確認された被災者の数が増えた」などと言い直せば、正確に伝えることができます。
 言葉のあげ足取りのように思われるかもしれませんが、微妙な言葉の言い回しの中には、その奥底に潜んでいる思考様式が見て取れる場合があるのです。  (横井)

 


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