経営学部生はこれを読め!(2) 「のうりん(白鳥士郎/SBクリエイティブ)(13巻続刊中)」

 

 「岐阜の宝もの」という言葉がある.
 これは岐阜県が全国に通用する観光資源として認定した地域や活動で,下呂市「小坂の滝」を始めとして5点が登録されている.
 しかし,岐阜にはそれに匹敵する「岐阜の宝者」と言うべき小説家が存在する.

 それが,この小説「のうりん」の作者,白鳥士郎である.

 のうりんは,いわゆるラノベ(ライトノベル)に分類される小説である.美濃加茂市を模した地にある「田茂農林高校」を舞台としており,アイドルが転校してきたことにより繰り広げられる騒動と恋愛を軸に描かれた物語である.
 しかし,これはただのラノベではない.
 岐阜の農業にまつわる問題.そこから広がる“食”のありかた全体に広がる問題.岐阜の地域性,特に風土文化と中山間地域のあり方.若者(特に農業高校生)が,岐阜を良くしようと,いかに頑張っているのか.そのような問題に対して作者は緻密な取材を裏付けとして,鋭く切り込んでいく.例えば,美濃加茂は柿の生産が多い美濃地方の中では珍しく梨の生産が多いが(蜂屋堂上柿とか持ってるくせにズルい…),赤星病対策のために中間宿主であるカイヅカイブキ(庭木)の制限・対策が待たれているなど.これは不学にして最初から最後まで全く知らないことであり,非常に勉強になった.このように「読んでいるだけで岐阜の現在と未来像を考えることができる」という作品を,しかもラノベという“誰にでも分かりやすく飽きさせず読ませなければならない媒体で”書いているということで,作者を「岐阜の宝者」認定すべきだと思うのである.もっとも,最新刊の食品廃棄物処理問題については,ラノベではなく“現代ビジネス”か何かで告発記事として書いた方が良いのではないかと思ったが…闇.

ただ,非常に残念なことには,この作品は万人向けではない.最新刊書影は(これでも)まだ大人しい方だが,女性キャラクターがやや胸をはだけたイラストを美濃加茂市観光協会がポスターにしたところ,セクハラ問題に発展したことは記憶に新しい.というか,上述の真面目なパートと,ギャグパートというかラノベパートのギャップが激しすぎるのが,万人にお勧めしづらい最大のネックなのである.「どこがマズいか」をここに記載すること自体が学科サイトとしてふさわしくない行為と見なされてしまいかねない.「狼と香辛料」「なれる!SE」を本学図書館に導入した猛者である筆者でさえも二の足を踏むヤバネタのオンパレード(主に牛関係がマズい.飛騨牛の碁盤乗りという地味だけど岐阜にしかない凄いことも紹介しているのになあ…).しかし岐阜のエキスパートになる手がかりをつかむことができる.そんな“読む人を選ぶ”ところでさえも,作者が「岐阜の宝者」である魅力になっているような気がするのだ.

 なお,作者は現在平行して「りゅうおうのおしごと!」(SBクリエイティブ)(4巻続刊中)という作品を出版中である.こちらも強力な取材力と筆致を活かして,史上最年少竜王位についた主人公の生活と対局を描きながら,将棋界の内情・裏側・現実を鋭く描く好作品となっている.ただしこちらもロ(以下略).
 次回は「瑞穂市の宝者」である小説家を紹介したいのだが,代表作選定で難航中(岐阜高○屋でバトる処女作が大好きなのだが,これも万人受けしない…).いっそのこと,岐阜県出身者の作ではないが,岐阜との関連性が非常に強い,あのマンガを紹介してしまおうかしらん. (畦地)

関連記事

  1. ゼミガイダンス

  2. 明けましておめでとうございます。

  3. 教務ガイダンスが始まります

  4. リーダーズキャンプ

  5. 学生が高校教員向けゼミナールに参加

  6. FD研修会が開催されました

  7. オープンキャンパスに多くの高校生が来場

  8. 4年生の就職内定が順調

  9. 新年の授業再開

最近の記事