No.735 都市の発展と景観

本田松原交差点の大楠が斬られちゃった!(写真撮影日:2019年5月19日)

瑞穂市の方で連載している写真ニュース「ちょっと気になる瑞穂だね」で、この大楠を紹介したのは、2018年12月12日でした。それから半年。いつもの美江寺に行く道順で「大楠の交差点を左折して…えっ!?ここどこ!?」。大楠が伐採されるのと同時に、古屋が取り壊され、一帯が住宅造成地と思わしき整理がされていました。

たまたま交通安全活動の準備をしてみえる方がいらっしゃったので、かきりんを持った怪しい格好で伺ったところ…つい1ヶ月ほど前に伐採されたとのお話しでした。先の記事では「いつまでも瑞穂のまちを見守っていてもらいたい」と書いたのですが、残念です。それより何より、今後、私は美江寺に行くときに、何を目標として左折すれば良いのでしょうか…?もしかしてもう二度と美江寺にたどり着くことはできないのではないでしょうか…?

こうしてランドマークがなくなることは、人の地域表象(地域に関する感情も含めた全体的なイメージ)に多大な影響を与えます。大楠がなくなることで、それまで心の中に作っていた自分だけの地図(認知地図)に、ポッカリと穴が空いてしまうのですね。それは思い出や、地域の記録/記憶として残るのかもしれませんが、一方で自分の一部が欠けるのと同じことになります。だから、地域の中で見つけた小さな“つまらない”ものでも、記録し続けることが大切ということになります。

ただ、都市は発展し変遷するのが常であることも事実です。この交差点の宅地は、市内どの方向にも出やすいために、便利で充実した生活ができるでしょう。私のような新参者は大楠がなくなって悲しんでいますが、元々この地帯には、中山道沿いに松並木があったと聞いています。その時代から住んでいらっしゃる方は、子供の頃の風景と現在の全く異なる風景に大きなギャップを抱いているに違いありません。でも、人が集うということは、町並みや景色が丸っきり変わってしまうことと同義です。今の景色の中にかつての地域表象を見いだし、空いた穴を埋めていくのが、人と都市の活動ということになるのでしょう。

かきりんが立っている大楠の切り株には、大きな穴が空いていました。見た目よりも老木で、空洞が広がっていたために、保存のしようがなかったのかもしれません。一方で、切り株の根元には(楠ではないと思うのですが)小さな若木が枝を広げていました。なんだかできすぎの“良い話”っぽいですが、都市と地域と人の新陳代謝について、象徴的な意味を感じたできごとでした。

(畦地)

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