No.688 VRの力

 

 最近はすっかりゲームから遠ざかっています。スマホやネットゲームで無料誘導から課金型のビジネスモデルが増えた結果、ゲームから抜けられない方向に面白さが進化したことが残念に感じる理由です。20代のサラリーマンに聞くとアイテムやガチャで月数千円出費なら健全なゲーマーとの認識に、老人はついて行けません。とは言っても、思い出してみると昔はゲームに合わせてハードを買い換えていました。

 ドラクエにはまったのは今から30年前、自分の分身のように主人公に名前をつけられ、実社会の体験と同じく冒険のバランスと経験を重視して進んでいく点が、ままならない現実を忘れさせます。コンプリートまでは夜を徹して遊び仕事に行くワールドカップ期間中のような状態を、新作の度に繰り返しました。シリーズの進化に合わせ娘へのプレゼントと言い訳しながら、ファミコン、スーパーファミコン、プレステ、プレステ2と買い換え、10年前のドラクエⅨのニンテンドーDSはドラクエ以外に使わず常に持ち歩いていました。今のポケモンGOの前身のようなすれ違い通信という機能がつき、見知らぬ人と触れあったような気分になれたからです。世の中の人は意外に信用できるという仮説の、社会実験もどきも体験することができました。

 ドラクエⅩからはオンラインゲームとなり仲間と冒険する楽しみが加わりました。離れたところに住む娘達と同時刻にパーティを組み冒険する楽しみは、リア充に匹敵する中高年の楽しみでした。ただ、遊ばなかった月も毎月オンライン利用料がかかりいつしか疎遠になり、再びオフラインとなったドラクエⅩⅠでは、しっかり娘にプレステ4をプレゼントし自宅で遊ばせてもらいました。つまり、しっかりゲーム会社の戦略にはまっているのですが、団塊の世代はハードにはお金は使えても、ソフトな通信料や課金には感覚的に払う気になりません。

 そんなある日、娘からドラクエVR(仮想現実)のメンバーが1人足りないとのメール。会場に行ってみると親父は僕しかいません。様々なVRのブースからはカップルの本気の悲鳴が響き渡ります。電源やハードが入ったバックパックを背負って両手に盾とハンマーのように重い剣を持ち、ヘッドギア、ヘッドフォンをバックパックにつなぐとあら不思議、ドラクエの中にいます。パパとの声に振り返るとそこには吹き出しの中にあだ名が入った娘達がいます。大騒ぎしながら剣を振り回しモンスターの会心の一撃から娘達を守っていると視野が暗くなり死にそうです。娘がホイミを唱えてくれて復活し、最後は娘達が全滅するも独り剣を振り続けゾーマを倒しました。係の人に本日ゾーマを倒せた最初のパーティです、と言われ有頂天です。ホントかよというつっこみはなしです。

 若者から褒められ、そうかお金をため込んでいる老人を消費に引き出すにはこの手があったかと感心しました。遠い家族との連帯感、衰えた肉体を忘れられる仮想現実、筋トレしたような翌々日の筋肉痛までついてくるのですから、4000円は安いものでした。(岩崎)

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