No.709 情報を伝えることは難しい!


ある自治体のお話しです。社会福祉協議会や市の広報紙に老人性痴呆症に関する情報をたくさん掲載しているのに、その情報を知っている住民がほとんどいないという問題が取り上げられ、その理由を調べる会が開かれました。問題意識を持った市民が集まり、情報発信を行っている市の広報担当者と社会福祉協議会の担当に来ていただきました。

社会福祉協議会の担当者は、説明時間が短いからと自分たちの行っている業務内容を機関銃のように説明し、最後に分厚い電話帳を示して何か困った時はすべてこの電話帳に担当窓口が出ていますから遠慮なく電話してくださいと話しました。市の広報担当者は、広報誌、市のホームページ、テレビのデータ放送、ラジオ番組などで広報を行っていると広報に使用しているメディアを説明をしました。

社会福祉協議会からも市からもいろいろな方法で老人性痴ほう症に関する情報が住民に広報されていることを説明していただきました。しかし、住民の方々は情報は届いていないと言っていますが何故なんでしょうか。

このような議論はあちこちの自治体で起こっているのではないでしょうか。私はこう考えます「集まった人たちに自分が老人だと思っていますか? 今年、痴呆症になるのではないかと悩んでいる人はいますか?」と聞き挙手を求めたとします。参加者の多数が70歳以上だとしても、ほとんどの人は手を上げないと思います。70歳を過ぎてもほとんどの人は自分が老人で痴ほう症になるのではないかと恐れている人は少数なのです。

困っていないし、関心もない人たちに、情報を知らせることは大変難しいことなのですが、自治体の広報担当者にはこの事が大変難しいことだという感覚は無いと思います。なぜなら、自治体から無償で配布される広報誌には返品がないからです。一般の雑誌であれば人気がなくなり、多くの返品が出て販売数が減少すれば廃刊になり、担当者は職を失う可能性があるから努力するのです。

関心のない人に無理やり情報を伝える方法の一つがテレビCMです。テレビを見ている人はドラマやニュースには関心があるのでテレビを見ます。そこに無理やり割り込こんでCMを見せてしまうのですが、全国の人にCMの内容を知ってもらうためには数億円単位ものお金が必要なのです。

関心を持たない人たちに情報を伝えるためには、ものすごいお金が必要だったり、大変な努力と能力、才能が必要で簡単なことではありません。

商品が売れないのはお客の見る目がないことで商品は素晴らしいと思っている商品開発担当者と同じで、送りて目線だけでお客様から話を聴いていないことが大きな間違いであることに気付いて欲しいと思っています。

私は、授業を理解できないのは学生が悪いのだ、などと絶対に思わず、授業方法改善の努力を続けなければいけないと、学生とのコミュニケーションを大切にしています。 (田村)

 

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