No.712 カラダを止めるな!

 

あけましておめでとうございます。経営学部ビジネス企画学科のブログも今年で18年目を迎えました。90年代のオウム真理教事件やバブル崩壊の後遺症で、日本の組織への信頼が揺らぎ終身雇用や年功序列があてにならなくなった2002年に、教員同士で21世紀の大学をどうするか連日議論を重ねて、ビジネス企画学科は生まれました。その後の多くの卒業生の経験から得た教訓は、カラダを止めるな! ということです。

過去のブログ記事を見ていただくとわかりますが、開設時の学科教育の未来予想は、1.高まるであろう実践的実務教育ニーズに学科として対応する(当時学科内ではアクティブラーニングをケーススタディと呼び中心に据えました)、2.コミュニケーション能力へのニーズが高まるため、教員と学生の関係性を高める、3.経営を知るために必要な基本的な計算能力や論理性を身につけてもらう、4.パソコンでのワープロ、表計算、メールの能力を身につけてもらう、5.国内市場が縮小する中で、英語嫌いを減らし将来生まれるであろう自動翻訳機等を偏見なく使えるようにする、6.従来の大学生ではあまり意識されなかった社会性を身につけてもらう、を考えていました。今となってみると、1,2については他に先行して大正解、3はAI時代を前に必要性が増しているものの十分実現できておらず、4はタブレットやスマホに代わり、5はまだ完璧な製品は完成せず、6は道徳論としてではなく、信用という個人としての有効な資本と見られるようになりました。

21世紀の最初の20年をまとめると、ある程度予想できていたのにAI化とAI化への準備とが思ったほど進んでいないとも言えます。同時に、今後のAI化にかかわらず身につけるべき必要な能力はあまり変わっていないこともわかります。しっかりした専門性と、コミュニケーション、社会性のような他者との関係性を維持する能力、それらを使うに際して、フェイクを見抜く計算力と論理性です。

十分実現できていない計算力や論理性を磨くための教育手法を様々試してきて解ったことは、学生の面倒な作業への意識づけと取り組む気力と持続力が、その後の様々な専門性の修得を容易にするということです。 会計の仕事でたくさんの仕訳を自分の手で経験すると直感的に異常な取引を検知できますが、自動入力から出力された帳票だけ眺めてもその感覚は身につきません。商品開発でも自ら試行錯誤した社長は、過去の失敗の中から新しい商品の可能性をたぐり寄せていました。

逆説的ですが、暗黙知を含む専門性のためにはAIを使う前に、自分の目と手と五感で経験し何かをつかみ取ることが必要なようです。次の時代に活躍する皆さんは、便利な時代になっても、本を読んで要約したり、ノートを取ったり、課題を解いたり、計算したり、工作したり、頭を、手を、身体を動かすことをやめないでください。それを20代は継続してください。ばかばかしく無駄に思われても、身体性は必ず専門性に結びつきます。 (岩崎)

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