No.718 ビジネスゲーム

 就職すると営業はノルマがあるからちょっとなあと、本音では思っている学生は少なくありません。それで公務員志望だったりします。ならば、「売上高は売上数量×売値だから数を売るノルマを果たさなくても値段をあげれば売上高は増えるし、セールスマンに値決めの権限があれば値段を下げて数を売る事でノルマ達成もできるんじゃないの?」と今年秋期の専門演習で突っ込んでみたら、あまり考えもせずにそれは無理との返事が返ってきたので、ビジネスゲームを通じて経営の面白さ、難しさを感じてもらうことにしました。

 最初は、競争がない状態で価格だけで売上数が決まるゲームです。何期か繰り返してどの価格だと利益が一番出るのかを試行錯誤してもらいます。10円ずつ慎重に動かす人、えいやーと大きく価格を動かす人、他人の試行錯誤の数字もメモしながら計算して最適価格を見つけ出す人、個性が出ます。

価格を下げて売上数は増えても単純に利益が出るわけではないことを体で感じてもらって、次は4社が競合する状態で価格と生産数量を決めるゲームに数期挑んで、累積利益を競ってもらいます。他チームの設定価格を読み、生産数量を決めないと在庫のコストが発生します。単純なゲームですが安定的に利益を取りたいチームが多いと自然と値下げ競争になることが体験できます。ゲームの当初設定の原価を引き上げると、下請け工場の苦労を、固定費を引き上げると飲食店の苦労を体験できます。場合によっては、皆の目配せで少しずつ価格を上げて利益を取りにいく談合も発生します。1社大胆なチームがいると、他社は振り回され、その1社は大体大赤字か大黒字になります。業界の暴れん坊パターンで、いずれも現実のビジネスでもよく起こる話です。

このゲームに広告宣伝費を加えると、さらに面白いことが起こります。どのチームもおっかなびっくり広告費を使います。そのうち効果があまりないと判断して止めるところも出ます。ここで宣伝費に応じて一定割合の売上数の増加を見込める設定にしてあると、突然大きく広告宣伝費を使い続けるチームが出てきて、数期で他社の数倍の規模に成長します。参加者の目が丸くなります。「ジャパネットたかた」がいかにして生まれたかを追体験できます。広告費で売上数が増加するとは、工夫した営業活動の結果、お客様が買う比率があがることそのものです。

簡単なビジネスゲームでも競争関係を絡めると状況は千変万化、相手の情報を集めて作戦を立てる面白さに夢中になれます。また固定費があることで、売上の変動がく大きく利益に影響することも実感できます。値決めの権限は経営そのものです。本当のビジネスの達成感にはおよびませんが、営業の裏側には、ビジネスの「創って、作って、回す」の回すという大きなゲームが隠れていることが理解できれば、営業の仕事こそ挑戦しがいのあるものだと気づくことができます。 (岩崎)

 

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