No.718 中村憲剛のアドバイス

 

アジアカップ決勝でのサッカー日本代表がカタールに1-3で敗れて二週間たちました。選手にとっても、日が過ぎるにつれ悔しさが増すのではないかと思います。素人の僕が見てもサッカーがチェスのような競技であることがよく分かる試合でしたので、ネット上で解説の動画を探してみると、サッカーの面白さに目覚める事請け合いです。カタールのシュートは10回蹴っても一回入るかという個人技とツキも味方したものでしたが、そこに至るまでのカタール選手の動きがこの試合の見物です。前半マジックのようにカタール選手が日本選手のいない場所でパスを受けられたのはなぜか、それが続いたことが、ある意味当然の敗戦に結びついたようです。

もう代表には呼ばれませんが、前期Jリーグで川崎フロンターレを2連覇に導いたベテランの中村憲剛選手の生い立ちが、この敗戦を考えるヒントになりそうです。テクニックはあるのに身長が低く、中学高校の時は大きな先輩との対戦で通用しない中、どうポジションをとればぶつかられないか、つぶされないかを考え続けてプレーしていたそうです。その経験が時々刻々変わる自由なスペースの発見力につながりました。さらに積極的にインタビューを受け続けることで、どうやったらフリーになれるか、守備の立ち位置の感覚等、自分の理解を仲間に伝える言語力を身につけられました。川崎フロンターレがJリーグ最小失点だったのも、チームの守備のやり方は決まっているが、相手や時間帯でリスクを考えその都度変えていき、それを選手間で伝え合うからだそうです。前から守備をし、そこで奪えばチャンスとなり、奪えなければ下がるというメリハリをつける。フォワードが守備をサボると後手に回るので、その人のタイプに合わせて説明すると話していました。今大会カタールの失点は1点だけであったことからも、その戦い方が似ていることが想像できます。

面白いことに、代表選手を上回るような戦術理解は、からだが大きければその発想はなかった、高校時代の弱いチームでネガティブな3年間が今の土台になっているとも語っています。今の子ども達は、体系立った指導と合理的なトレーニングが進んでいるので、自分で考えなくちゃいけないところで、面白いなと思う前に、指導者から言われてしまうことがマイナスではないか、とも話していました。教員としても反省材料です。

これはサッカーのみならず、将来の仕事や知識の身につけ方でも参考になります。確かに仕事の出来る人はスイスイ取引を取るように見えて、しばしば足元をすくわれ大失敗をするものでした。今まで段取りが悪い、賢くないと感じていた人は中村選手のように失敗で縮こまらず自分で工夫してみてはどうでしょう。本番までの準備時間を大切にして自分で考える癖と引き出しを増やしていけば、最少失点で社会の荒波を乗り越えられる可能性が、早熟な人より高まるのではないでしょうか? (岩崎)

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