No.743 協力か拒絶か

 またまた学生とビジネスゲームを始めました。今回は価格、生産数量、広告費等の意志決定で利益を競うのではなく、各社間の交渉だけで利益を競うゲームです。4つの会社に分かれてお互いが持っている土地を交換し合い、大きな正方形の地形を作ると土地全体の価値が上がります。相手が交換に応じない場合、プレミアムを払って地上げします。どこに地形を作るか社長を中心に作戦を立て、各社は専任の営業マンがそれぞれ1社と交渉に当たります。携帯代は高いのでLINEで交渉することし、最初に「○○社の××と申します。今度御社を担当しました。よろしくお願いします。」等のLINEを入れて、ゲームスタートです。協力か拒絶か

 こことあそこを交換しましょう。とメールをもらっても、営業担当が勝手に決めているチームもあれば、営業担当では決められず社長にどうしましょうと相談して決めたり、他のメンバーも入れて会議を開いたりチームによって個性がでます。チーム内の意思疎通が巧くいっている会社は結論が早く、実際のビジネスと同じです。

 コツが分かってくると交換が成立してきましたが、なかなか地形として正方形になるところがでません。他の3社すべてと交換をしないと正方形にはならないのですが、A社だけなかなか交換に応じません。基本は大きな地形を作ることなので積極的に交換を進めた方が良いはずですが、A社は最後にプレミアムを要求してそれで利益を上げようという作戦のようです。結果A社は2位にはなったのですが、A社にプレミアムを払いつつもより大きな絵を描いていた他社がトップとなりました。さらに面白いのは、もしA社が交渉に応じていたら4社全体で作れた大きな字型の価値合計が今回のゲームの4倍近くになり、その中でプレミアムを適正に要求していたらA社がトップになれたことです。

 各社は席を離して座っておりそれぞれの相談は聞こえませんが、3人の営業マンの情報を巧く集めれば、他社がどこで地上げを狙っているかを読み取ることもできます。他社の狙いと関係ないところで自分の土地を集めつつ(交換を進め)、最後のピースで大きなプレミアムを要求できれば、A社は業界のトップになるだけでなく、業界全体の利益も大きくできたのです。

 先週ヨーロッパ間の交易の枠組みであるEUから離脱するかどうかを決める国民投票が英国で行われ、英国民は僅差で離脱を選びました。交易に応じない国があると世界全体の利益が損なわれるだけでなく、その国の利益も大きく損なわれるため、1ヶ月ほど前から多くの投資家が離脱を予想して株やポンドを売っていました。今回の離脱でイギリスの金融為替市場は大きな混乱が続くでしょうが、それ以上に世界経済の悪化が心配です。僕たちも時にあいつにだけには協力したくないと感じることがありますから、難民に自分たちのお金を使うのは嫌だと離脱を選んだのは理解できます。が、多くの場合は違いを認め協力し合った方が双方の得になります。面子や感情を重んじすぎると、大きな災厄が襲いかかります。第一次世界大戦はそうして発生しました。 (岩崎)

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