No.749 ポケモンGOで未来にGO

今年の夏はポケモンGOが話題です。ポケモンの名前をすべて言える30代より若い人たちだけでなく多くの世代で人気となり日本で1千万人以上、世界では1億ダウンロードを超えたようです。ご存じのようにゲームはポケモンを探して捕まえ、そのポケモンを育成して戦うものですが、ポケモンGOではゲームの中でポケモンを探すのではなく、実際の街中を歩いて位置情報と拡張現実を活かしてまるで実際にハンティングするかのようにポケモンを集めます。また街中の駅や銅像などに設定されたポケモンストップ(ポケスト)のそばに行くと、アイテムをもらえたりポケモンを集めたりできるため、特に都会ではポケストのそばに人が集まっています。ついついポケモンやポケストを訪ねて歩きまわるため美容と健康にもよいと、僕のような中高年でもはまります。

位置情報と拡張現実の組み合わせは今後の世界を変えるといわれてきましたが、これだけ多くの人が夢中になって実現したのは初めてでしょう。社会が今後どのように変わるかを新しいビジネスを考える良いきっかけにもなります。また社会のルールや規範がどうやって生まれてくるのかに立ち会う貴重な機会ともなるでしょう。歩きスマホの危険や私有地への立ち入り、深夜の公園に人が集まるなどの問題に新しいルールが生まれるはずです。160804b

ポケモンGOのベースになっているのは、Ingressという陣取りゲームです。ユーザーはそれなりのルールを仲間で創り上げ、地域とのトラブルを避けてきました。新たに大量に参入したポケモンGOのユーザーがそのルールを無視したため、地域との対立が深まり地図上の拠点がゲーム運営者によって撤去されゲームがやりづらくなることも起こっています。実はまったく同じ事が10年ほど前バードウォッチングの世界に広がりました。バードウォッチャーには自然を大切にするのは当然ですが、団塊の世代が退職しだして高価なカメラを手に野鳥写真を趣味とする人が増えマナー違反が急増しました。鳥や自然にダメージを与えず近隣の方に迷惑をかけず同じ趣味の人たちが譲り合って静かに観察するルールが無視され、珍しい野鳥がいると聞くと車で乗りつけ田んぼに駐車し、私有地に無断で立ち入りガケによじ登って子育て中のタカを驚かせ、野生の植物を踏みつぶし、切り刻み、餌付けし、ここは俺の場所だ入って来るなと主張し、それはひどいものでした。これらはすべて若いゲーマーではなく分別のあるはずの50代以上の大のオトナがやったのです。

夢中になるとわれを忘れるのは若者の特権ではありません。ゴールドラッシュのカリフォルニアでは、元の地主は所有権を無視され裁判でも負け家族離散の憂き目にあいます。その後ようやく社会的な権利が確立していきます。それが人間です。拡張現実や位置情報を活用すれば車の自動運転も実現するなど新しい社会はより良い社会でしょうが、皆が良さを分け合うためには新しいルールが必要。ポケモンGOは新しいビジネスだけでなく新しい社会規範を考えるきっかけにもなりそうです。 (岩崎)

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