No.752 豊かな国のこれから

日本は本当に一様に豊かな国。夏休み島根、山口、福岡と車で旅して実感しました。出身地に近く子供の頃の貧しい村々のイメージがあったのですが、どのような山奥も舗装されており、過疎に近い村にも必ずデイケアセンターがあります。海岸に山がせまる地形のため、隣村に行くのも海岸線を上り下りしながら曲折した長い道のりを進まなくてはいけなかったのが、トンネルの多い有料道路や広域農道が整備されどこも便利になっています。平日であれば対向車も信号もほとんどない道路を爆走できます。

同時に地域ごとの異なる自然風土にも気づかされました。山陰、山陽、九州と続けて回ると、それぞれの山系の姿の違い、同時期に西に進むほど稲穂の色づきが増すことに驚かされます。出雲の穏やかな山に比べ、西に下ると山は低いながらも急峻でよく港から石見銀山まで物資を運べたなと感動します。今はひなびた温泉津(ゆのつ)港には、江戸時代20万人が暮らしていたと聞くと人海戦術であったことが伺われます。中国山地を横断して瀬戸内海側にでるとなだらかな台地が続き人々の気風も変わることがわかります。さらに関門海峡を越え九州に入ると山は荒々しく火山の島であることを実感させられます。海外では一日走っても同じ景色ということも多いのに、日本では数時間行けばそれぞれに個性のある景色、ふるさと固有の暖かい朝日夕日を眺められます。

一見の観光客には道路の整備は大きなメリットですが、住民にとってはどうでしょうか。途中立ち寄った元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)は、白狐のお告げで60年前に建立された比較的新しい神社ですが絶景です。国道から離れた港に向かう崖沿いにありますが、土日は大渋滞になるそうです。山口にはカルスト台地が広がり秋芳洞という大鍾乳洞もあります。昭和40年代は九州中国地方の観光地として栄え道路も早く整備されましたが、今回訪れると旅館や売店が寂れているのにびっくりしました。便利すぎると一日で多くの観光地を回る人が増え、宿泊客も飲食も減ってしまったようです。

日本はすばらしい自然に溢れかつ地域の豊かさも一流ですが、これからは異なる発想が求められます。時間に追われる東京の発想で道路を造り続けても、生活、産業と密着していなければ維持できません。昭和の若い女性がおしかけた津和野の山中にある天文台の回りの林道は25年ほど前に国の事業として整備されテニスコートも作られましたが、現在では荒れ放題でした。維持には一定のにぎわいがあり続けることが必要です。拠点への集中は石見銀山の歴史のように必須でしょう。全てが残るわけはないのです。風土に応じたメリハリのある産業や観光へ集約が進めば日本には多くの点が存在することになります。それらをどう結ぶか、意外と車より船の技術革新のほうが日本の風土には合っているのかも、といったような突拍子もないことを語りあうのはいかがでしょう。 (岩崎)

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