No.760 Jリーグの冒険

 僕たちの子ども時代は、子どもが好きなのは「巨人大鵬卵焼き」と言われ、相撲から野球にファンが移りつつある時代でした。あれから半世紀以上が過ぎ、現在はサッカー、ラグビー、バスケット、とそれぞれにプロチームが存在する時代になりました。大人になって仕事に行き詰まったときに勇気を与えてくれたのがサッカーの横浜フリューゲルスでした。フリューゲルス存続へのファンから集まった7000万円の募金に込められた希望を受け継ぎ、2000年Jリーグ準会員のJFL(現在のJ3)から再出発した横浜FCが、来年度からのJ1昇格を決めました。何試合も応援に駆けつけた長年の念願が成就しました。

 1993年10チームによるサッカーのプロリーグができて27年、JリーグはJ3まで含めると58チームに増えました。当初制定した各町に芝生のスポーツ施設を作りスポーツを老若男女楽しめるようにするというJリーグ百年構想は、旧来のお役所からの補助金や企業スポーツではなく、各団体が責任を持って自立する経営を求めた点が他のスポーツと違いユニークでした。実際いくつものチームが大口スポンサーの支援打ち切り等の経営不安をかかえその一つが横浜フリューゲルスでした。しかし自発的にサポーターの寄附で市民チームを目指したことは決して失敗ではなく、大きな経験としてリーグ全体の財産になります。単にチームを応援するサポーターから、主体的にボランティアとしてチームを支える市民メンバーが生まれ、プロとして継続できる経営問題をクリアするためJリーグの規定、組織、財務、法務の整備やフロントの人材育成も進みました。401人でスタートしたJリーグの登録選手数は2019年2月で1626人、球団関係者を含めれば3千人の新たな職場を生み出しました。

 環境の整備の結果、スタジアムの収容定員数や専用練習グラウンド等の条件を満たさなければチームが優勝しても昇格できませんし、財務やスポンサーの状況が一定の基準を満たさないと資格を剥奪されます。ファンからすれば厳しすぎる基準に泣くこともありますが、そのおかげで経営の安定のみならずJリーグの理念を共有しつづけ、持続可能な成長を達成しています。ここ数年J1,J2,J3どのカテゴリーの試合でも上質の試合を身近で観戦でき、ファン選手スポンサーが一体となった祭りを体験できる場となってきました。野球人気は変わりませんが裾野の広がりでは大きく水をあけつつあり、バスケットボールも同様の組織化を目指しています。  スポーツのプロ化継続にはマーケティングだけでなく多くの経営ノウハウが実践されており楽しみながら経営学を考えることできます。同時に、閉塞感のある日本の産業界に欠けているものも見つかるかも知れません。横浜FCの三浦知良選手は来年53歳、高齢者の星としても、そのような選手が活躍できるスポーツ界の星としても、Jリーグの冒険は今後もためになりそうです。(岩崎)

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