No.762 コミュニケーションが価値を創る

岐阜県の観光的価値について研究していますが、各地で地元の店主とお客目線とのズレを感じてしまう出来事に何度も遭遇しています。

岐阜市から車で約2時間の岐阜県加茂郡のある村に行った時のことですが、とても自然豊かな里山風景が広がっていて、のんびりするのにはとても良い所で、村の川沿いの旅館に宿泊することになりました。川には鮎を狙う釣り人が何人も見られ夕食が楽しみだと思っていました。

さて、夕食に出てきたものは、主菜が鮪とサーモンの海のお刺身で、鮎も川魚も出てきませんでしたが、山菜の天ぷらがとても新鮮で美味しく満足することができたので、とても美味しかったというと、ご主人は「私は毎朝、茜部(岐阜市の卸売市場)に往復3時間以上かけて買い出しに行っている」と自慢げにおっしゃっていたのが印象的です。私は、茜部のある岐阜市から来ていることは宿帳に記入したのにと思ってしまいました。

この後、宿泊した地産地消を唱える県内山のホテルや旅館の食事でも同様のことを何度も経験しています。そこで、サービスやホスピタリティで高い評価を得ている星野リゾートに行ってその違いを勉強させてもらうことにしました。

星野リゾートでは、お客がホテルに到着するとカウンターでのチェックインはなく、ゆったりした応接セットの部屋で、ウエルカムドリンクを飲みながら笑顔の客室担当からアンケートを受けることから始まりました。住所を記入することはどこのホテルでも同じですが、ここでの会話からお客のプロフィールが記録されていることが、マーケティングを勉強しているものからすると、とてもよく設計されたアンケートだと感心しました。

お客の価値観や、好み、嫌いなもの、魚と肉はどちらが好きか、野菜で香りの強いものはなど結構深いところまで聞かれているのだが、不快ではなく心遣いに聞えてくるのは、とてもよく訓練されていることが推察されます。161114a

さて、注目の夕食なのですが地元で大変癖が強くて有名な食材を避けるのではなく、あえてお客一人ひとりの好みに合わせた味と香りのバランスで出してくれました。これが私たちはお客様の声を聴き貴方のために特別に調理しましたという象徴的なものに仕上がっているのです。

その上で、どうですかお口に合いましたか、それでは次の料理では少し控えますねなどと、お客とのコミュニケーションを欠かさず、言ったことに的確に反応し、料理に反映される様子を見ていただき、コミュニケーションが価値を創造する現場を体験させてもらいました。 (田村)

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