No.768 Sapporo Sight-Seeing (7) 地元のことほどよく知らない(札幌聖ミカエル教会)

 小学校の3年間だけ住んでいた美香保には、日本聖公会札幌聖ミカエル教会があります。社宅から徒歩圏にあり、弟が併設の幼稚園に通っていたこともあり、なぜか私も日曜学校に通わされることになったのでした。丁度その頃ドラえもんのアニメ放送が日曜朝に始まり、見たくて見たくてしかたがなかったのに日曜学校のせいで見られなかったことを、今でも酷く恨んでいます。

 教会自体も子供の目からすると変な造りで、3つの角度が組み合わさった角度の屋根は「雪に押し潰されたの!?」とか思っていました。それよりも、問題は窓。教会というとステンドグラスか何かできらびやかに飾られていると思うのですが、(子供の記憶では新聞紙のような)紙が切り抜いて貼り付けられているだけ。そう、なんというか貧乏くささを感じる教会で、最終的にはとうとう主への信仰は芽生えなかったのでありました。

 ところが月日は流れ…テレビ番組「美の巨人たち」でアントニン・レーモンドという建築家の話を見たときに。なんと懐かしい押しつぶされた貧乏くさい教会が映ったではないですか!近所の無理やり通わされていた教会は、世界的大建築家の手によるものだったのです(レーモンド自身についての詳細は省略)!調べてみるとWikipediaにも項目がある有名な建築物であり、札幌景観資産というのに登録されているらしい。屋根の角度は美的に計算され尽くされたレーモンドの教会建築様式に従ったもの。また新聞紙と記憶していた窓の飾り付けは和紙によるもので、これも日本的な意匠を意識したものだということです。

 とまあ、何もかも間違った認識のガキは、およそ40年後に真実を知って驚愕したというわけでした。当時は牧師様も何も言わなかったし、うちの親も含めた近所の人たちも、有名建築家の作品であることを知らなかったんじゃないかなあ。そんなわけで、ほぼほぼ40年ぶりに再訪したミカエル教会。隣の幼稚園は記憶からずいぶん立派になっていましたが、本体は(当然ながら)変わらず記憶の中の姿のまま建っています。

 そして、ここが問題。子供時代に「ボロ教会」というスキーマが形成されているので、“レーモンド建築”という追加情報によっても印象が変化しません。まさに初頭効果、確証バイアスというやつですね(なんか違う)。一度「たいしたことがない」と思い込むと、地元の価値あるものを見直すということが非常に難しいという原理を、社会心理学的に再認できたのでした。

 さて、条丁目制が敷かれている札幌市で、どうしてこの地区を美香保と呼ぶのでしょうか?札幌オリンピックのフィギュアスケート会場として有名な美香保体育館(今、調べたら、プールやめちゃったんだ…)が位置する美香保公園があるからだと思っていましたが…漠然とアイヌ語地名だと思っていました。ところが、これも驚愕のWikipedia調査結果が。地主の宮村・柏野・大塚さんが公園用地を寄付したので“ミカオ公園”→当て字の“美香保”が“みかほ”という呼び方になったとのことでした。スケート教室帰りに弟と寝っ転がって流れ星を数えていた“山”って、高射砲陣地跡だったのか…。

 たとえネット情報であっても、調べようと思わなければ調べることさえもしない。そんなリテラシーというか調査能力についても考えさせられるのは、もしかして主の思し召しなのだろうか…? (畦地)

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