No.779 IoTとAIの未来って?

4年生のみなさん卒業おめでとうございます。ということで、将来のためのヒントを一つ贈ります。

今後の日本社会にもIoTとAIが大きな影響を与えそうです。AIは人口知能(合成知能)で何となくスマートホンSiriの進化版のイメージですが、IoTは一体何か分からないという人には、28年前に書かれたマンガ『硬殻機動隊Ghost in the Shell』を読みましょう。アニメのほうではなく、マンガを読みながらじっくり考えるのがオススメです。

主人公草薙素子は脳と脊髄を除いた全身がサイボーグで公安9課のメンバー。フチコマと呼ばれる多脚戦車にのって、仲間と犯罪を未然に防ぎます。複数走り回るフチコマは、人を乗せても独立でも自動運転自動思考が可能で、各自の経験をネットで共有し、毎日、行動のたびに最善のパターンに書き換えられます。かわいいフチコマこそがIoTそのもので、既に現実社会でも複数の自動操縦自動車による道路情報の収集や、複数の建設機械の効率的な工事現場での運用などが、実用化されています。

マンガの中ではマイクロマシン技術で人間の脳とコンピュータを連動させる姿が描かれ、このアイデアは映画マトリックスに影響を与えました。AIというのは、人間にとって代わる人工知能という意味だけでなく、人間の知力を補助する知能機械という意味も描かれています。その結果いつかは機械が人間の知性と相似のものを持つかも知れず、その境界はどこにあるのかを考える作品にもなっています。なんだSFの世界じゃないかと思っていると、足元をすくわれます。すでにAmazonは、一人ひとりのスマホに何をおすすめ商品として表示すればよいかを各自の選択の記録からの類推だけでなく、今まで蓄積したAmazon全体のビッグデータの中からAIが機械学習を繰り返して表示しています。僕たちが便利で素早く安い買い物を楽しめているのはAIのおかげです。

草薙素子が正義の味方であることを続けるため、非合法に近いビジネスで収入を得ていたのと同じく、僕たちの生活を便利にしたAmazonも僕たちの直感からするとやや危ない分野にまで踏み込んでいます。そのビジネスは、人間には不可能な短時間での株売買をAIに行わせノーリスクで安く買って高く売ることを繰り返すさや取り取引をモデルにしています。蓄積した顧客データを活用してAIが短時間に商品の売り手の情報をマッチングさせ確実に利益の出る取引を大量に行うシステムです。場合によって一人ひとりに表示している価格まで変えているようですがその情報は公開されず、機械は情け容赦なくリスクのない利益を上げ続け、ある意味で人間から機械が利益を奪っている状況とも言えます。

AIの組み込みはもう世界中で広がっており、その一つの帰結として貧富の差が拡大した暗い未来がマンガには描かれていますが、ここでもう一歩踏み込んで考えると僕たちの新しい可能性も見えてきます。カプラン『人間さまお断り』には、AIやIoTによる経済成長と人間の欲望を巧く組み合わせ、貧富の格差を阻止するアイデアが示されています。

未来を様々なヒントから自分の頭で考えておくこと、これが皆さんのこれからの最大の財産になるでしょう。 (岩崎)

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