No.780 道の駅の経営③

 岐阜県内には全国2位という多くの「道の駅」がありますが、開設当初は大変賑わった道の駅なのに閑古鳥が鳴き始め客足が遠のいた寂しい道の駅と、賑わいを維持している元気な道の駅の2つに明暗が分かれてきています。道の駅経営の「明」が多いのなら良いのですが、「暗」の事案が県内のあちこちで見られる様になったことから、地域活性化を妨げる一因として危機感を持ち始めました。

 そこで、民営のスーパーマーケットと第三セクターなどの行政が関与している道の駅との相違点を調べてみると、バイヤーの存在だと考えるに至りました。バイヤーとは仕入れ担当者ですが、スーパーなどの小売業にとって経営の生命線を握る重要な仕事です。仕入れるか否かを決めることは、品質と価格を管理し、販売する店舗のお客様のニーズを知らなければできない仕事なのです。ある品質の商品をいくらで販売した場合に、この商品が売れ残るリスクなどから損益分岐点を考え、利益を導き出すためのストーリーを即座にイメージできることがバイヤーとして必要だと、ある量販店の経営者からお聴ききしたことがあります。これは、単に販売価格を決めるだけでなくその後の価格も含めたものだと言います。

 これに対して道の駅は、農家同志が話して価格を決めて商品を並べるだけで、商品の品質や売れ行きを管理する人も、仕入れ担当も不在で、お客様と向き合っているのはレジ担当の人だけですが、売れ残った商品は出品した農家が引き取るので、売れ残った商品の価格と品質には何の責任もなく管理もできていないのです。この様なシステムで運用している道の駅の多くが「暗」に陥っているケースが多いことが私の調査結果です。開設した当初の一見客は売れ残りの商品も買ってくれることが、余計に傷口を広げてしまっています。こんな品質の商品でも買ってくれると間違ったメッセージを農家に伝えてしまうのだ。しかも、最も大切なリピーターを失っていることを誰も知らずに過ごしてしまい、誰も近づかない、暗い道の駅になってしまって初めて行政が気が付きますが、その時はすでに回復不能な状況に陥った後です。

 生鮮野菜、果物がこの状況の道の駅は、同じ様にパッケージ商品にも無関心で卸商社の持ち込み商品をそのまま受け入れ陳列するために、地域の独自商品は並ばず、どこの道の駅も同じような商品が並んでしまう結果になり、お客様の購買意欲を刺激できません。

 スーパーマーケットに並ぶ商品は、食べ親しんだブランド商品が多く、お客は好きなブランドを購入しているのです。最近のプライベートブランド商品もマーケットの信頼が購買につながります。しかし、一見の道の駅には信頼は有りません。信頼もなく、美味しい確証もなく、知らない商品を買う客は極少数に限られることは明白で、売れないのが当たり前なのに、そこが分からない。

 試食を置き、POPなどの商品説明を置いて販売促進策をとることが必要なことが理解できなければ、ヒット商品は生まれないことを是非勉強してほしい。道の駅の経営者は、経営学を学び、マーケティングの重要性を認識し、お客様と向き合っていただきたいのです。 (田村)

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