No.797 フェイクニュースの時代

 トランプ大統領の誕生と共に、フェイクニースという言葉が海外から入ってきました。日本では虚偽報道と呼ばれ、事実と異なる報道によってなんらかの利益を得ることを意味していました。不満や不安を持つ人々がそれを信じる点は昔のデマと変わりませんが、現代のフェイクニュースは、ソーシャルメディアで拡散していくことで影響力を強めていく点で、従来と違い圧倒的なスピードと力を持っています。親しい人から回ってきた情報は「事実」ではなかったとしても「真実=真理を一部ついている」と考える人が「ポスト真実」として情報を流すことで、利害関係を感知しづらい形でデマが拡散します。

 フランスの大統領選挙では、最終決選投票直前にマクロン候補の不正や不道徳といったフェイクニュースが大量に流されました。結果としてジャーナリストの調査で、トランプに肩入れした米国の極右ブロガーが巧妙なフェイクニュースを作成し、フランスの極右陣営のルペン候補の支持者にコンタクトして拡散を計ったことが明らかになりました。このような活動がなければ、ルペン大統領が誕生していたかも知れません。

 ニュースの事実関係の確認はファクトチェックと呼ばれ、報道機関の重要な役割ですが、記者の並外れた公正意欲だけでなく時間もお金もかかります。残念ながら日本ではここが大変弱いのみならず、テレビ局の報道番組自体が視聴率獲得のためにバラエティ化し、ニュースが事実よりネタとして伝えられる傾向が強まっています。ニュースを見ている人もそのことを知っておりメディアの信頼度は低下しています。結果身近な人の情報に頼り行動する傾向が強まります。日本もフェイクニュース時代に突入しています。

 この傾向が激しくなったのは2011年の東日本大震災の時でした。当時の政府発表が、想定外や直ちに悪影響がないと繰り返し情報公開を明らかに拒んでいる雰囲気から、市民が自衛のためSNS等を活用し、マスコミへの信頼感も少しずつ失われていきました。最近の企業や役所の不祥事、政治動向を見ているとその傾向はますます強まっており、日本でもファクトチェックや、だれが事実を開示する責任を負うのかを法的に明確にする(和解だけでなく裁判で決着をつける)必要が高まっているようです。

 フェイクニュースの発信源は、事実ではないことを当然知っています。と同時に、元々マスコミも角度をつけた報道をしているのだから、彼の信じる真実の一端を示すフェイクニュースを流すことに良心の呵責を感じていないことが、フランス大統領選の調査報道で明らかになっています。相互の安心を社会の基礎に置いてきた日本の社会人は、それでも悪意や利益誘導を感知すれば人を見る目をもっていましたが、信じる道に一途な人の情報には欧米人より弱そうです。私たち自身が自分で考え議論する、友人は信じていても、彼の行動や主張はチェックする習慣(欧米型の信頼)を持たないと、フェイクニュース大国への道はすぐそこです。友達の情報全てに、いいね、を押すのは、やめましょう。 (岩崎)

 

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