No.809 体力、知力、気力

90歳をむかえた親の介護をはじめて半年が過ぎ、ある事に気がつきました。人は、社会生活を営む知力も何かをやりとげる気力も、体力がなくなると消えてしまうことです。体力が生きることの根源であるという当たり前の事を、機械がサポートしてくれる便利な世の中ではついつい忘れてしまいます。

しっかり者で独立自尊が口癖の父が、食べ物の味が分からなくなり食欲を失った途端、記憶が曖昧になり、自分でできることもやらなくなりました。足も動かなくなり車いす生活です。家族は一生懸命面倒をみますがそのわがままにあきれ、こんな人だったのかと次第に近寄らなくなりました。ある日、歯医者さんが老人の悪循環を教えてくれました。食べないと唾液が出ず、飲み込みが悪くなる。口内の雑菌が増え食べ物をまずく感じ、舌が固くなってますます味が分からなくなる、そして体力が落ち寝たきりになるそうです。寝たきりになると可哀想だと家族が努力をかさね、舌のマッサージや飲み込みの訓練を繰り返し、夏の間で少しずつ食べる能力を回復しました。すると体力が回復すると共に、知力も回復し、そして何よりコトをやる気力や介護者への感謝も以前に近く回復したのです。失われた味覚も回復し、食欲も出てきたので介護をしていても家庭も明るくなります。すべては体力、食べられることから、社会生活の基礎となる知力や気力、共感は生まれていたようなのです。

脳は食べ物が生み出すエネルギーを筋肉より消費します。スポーツの試合で後半頭が回らなくなり、普段できる判断ができなくなるのはこのためです。同時に絶対勝ちたい、仲間に迷惑をかけられないという気力も落ちてきます。これが落ちないように、厳しい練習に耐えメンタルもトレーニングします。同じ事が、社会生活にもいえます。もし、世の中に面白いものはないなあ、大学生活に飽きてきた、と最近感じていたら体力が落ちているのかも知れません。朝ご飯をたべ、ちょっと運動することを続けてみましょう。ワクワクが回復します。

強制的にわくわくするなら、ちょうど選挙権が18歳以上になって初の衆議院選挙です。どの党のどの候補が何を言っているかしっかり見つめてみましょう。人よりちょっと運に恵まれた人が経営者を名乗り、人よりちょっと知力に恵まれた人が学者を名乗り、人よりちょっと体力に恵まれた人が政治家を名乗る、という俗諺があります。政治家を観察して体力の重要性、すごみを実感するチャンスでもあります。年齢的に体力のある若い人が、気力を持って自分の頭で考えれば、変化に対応し社会を持続させられたのが人類の歴史です。これから選挙で決めなくてはならないのは、消えゆく老人の行く末ではなく、みなさん若者の未来です。 (岩崎)

 

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