No.812 常識を越える

 北朝鮮問題に原発の将来、いずれも良い解決策がなく無理とも思える問題です。無理と思える問題を解消するためには、自分の常識からのジャンプが必要です。先輩のおかげで、僕は若いときに常識をのりこえる経験をしました。全国展開企業の7000人の社内預金を2ヶ月で銀行預金に切りかえる作業を、20代の終わりに任されました。当時は、住所、郵便番号、氏名、電話番号等を繰り返し複数の書類に書かないと口座が作れません。全国に散らばる社員さんも手間ですし、書き漏れがあればフォローも大変です。作業工程を工夫したのですが、不備の整備には何ヶ月もかかりそうです。間違ったまま口座を開くのは銀行の規定に反します。

 移行期間を延ばせないかと上司に相談にいくと、書類を複写にすれば、と助言してくれました。必要な書類は様式もサイズも違うのですがそれらを統一し、数枚重ねてワンライティングにすれば、書き間違い、書き漏れが減ります。書面は決まった様式で一枚ずつ、複写は2枚まで、という常識に自分が縛られていたのです。印刷会社と交渉し極限の薄い紙で6枚複写の伝票ができ、無理を実現する楽しさの虜になりました。その後の仕事でも根拠のない自信を持てたのは、この体験から生まれているような気がします。

 問題があった場合、それを分析し解決できる形にするには、当然知識をもとに考えます。無理難題の場合、さらに常識という枠組みを抜け出す工夫が必要です。そのためには自分の身の回りや仕事にかかわらず、無駄と思える何事にも意識して興味を持つことが大切。無理に直面すると人間は当然追い込まれますが、そのうちなぜか、問題とは関係ない偶然の会話、何気なくみたネット記事などから自分が囚われていた常識にハッとします。常識を越えれば新機軸が見つかります。悩み煮詰まることで、無意識に見つけたヒントから過去興味を持った情報が頭の中で回線を結ぶのだと思います。

 常識を越えると当初考えていた問題とは、問題の構造が変わります。7000人に多くの書類を正確に書いてもらう問題は、常識破りの結果1枚の書類を7000人に書いてもらう問題に変化しました。それでも書きやすい書類様式、多量のデータの短期間での入力等多くの問題がありますが、これらは今までの銀行の知恵で処理できます。さらに場合によっては、銀行の法律である規定を変えることにも思いが至ります。次の常識は越えやすいのです。

 常識の枠を越える経験は小さな事でもよいのです。アイスにソースはあわなかったが、醤油をかけたらキャラメルソースになったとか、チューハイにキューリを入れたらメロンハイになったとか。何でも試してみましょう。すでにコラムで取りあげたように、朝日大学には、ラグビーと公認会計士試験で常識の枠を飛び越えただけでなく、継続して成果を導いている指導者がいます。近くで盗むのも良いでしょう。若いときの常識を越える経験は、大きな自信となって返ってきます。 (岩崎)

 

                                                                    参考「答えのない世界を生きる」小坂井敏晶祥伝社

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