No.861 権威と組織運営

 

最近、セクハラ、パワハラといった事例が取りあげられるケースが増えています。権力による意志に反した強要は絶対に避けるべきでハラスメントは力関係があるかどうかで判断できそうです。「忖度」という言葉もブームになりましたが、ハラスメントと同じく絶対的に悪い事かといえば、違う側面もあることが新聞報道とは違って難しいところです。

思考実験をしてみましょう。税金を払うのは国民の義務でそれを社会全体の更正を高める目的に使うというのが近代国家です。しかし、もともとは強い人に自分や家族を守ってもらおう、そのお礼をしようと言う気持ち(あるいはお礼をしろという要請)から税金は生まれたのかも知れません。日本の古代史をみると元来力の強い者が王となる歴史であったようです。尊敬できる王がいて安心して暮らせる場合、税金を払う側は深く考えなくても王が何を望むか考えて行動すれば見返りが大きく、王を思うことが当たり前=善となる可能性はあります。つまり王が守ってくれれば王に税金を治めるのも当然=国民の義務で、王が税金を取る権利(権威=無意識の忖度)を認めるわけです。ではその権威はどうやって決めるのでしょうか。

古代史はこの部分を日本人がどう独自に工夫したかを解き明かしてくれます。力で選ばれた王が極悪非道であれば、権威に疑問を生み世が乱れます。単なる乱暴者ではなく尊厳を持ち自負心から行儀良く行動する王はどうしたら生み出せるか。その工夫から推古天皇の頃に直系皇族が引き継ぐ制度が生まれたようです。これにより王族は国民=有力豪族の期待を背負いその見返りとして権威が保たれます。現代のイギリス王室を見ても、国民の期待に応えて行動することで王室の質が保たれているようにも見えます。

一方、それより前に中国人が発明したのは、儒教道徳に従わない統治者であれば徳の高い人が打ち倒してもよいとする「易姓革命」の制度でした。王には恐怖ですがこの仕組みと官僚制を組み合わせると長期安定王朝が生まれると共に、次の王も以前の組織を使え混乱期は相対的に短期です。唯一の神から王の権威が与えられたとしたヨーロッパや日本(神の世襲)では、王の権威と人々の信頼で安定を得ていますが、ひとたび王朝が倒れると力比べによる戦乱が時によって数百年も続きます。つまり忖度が当然の世界はある程度安定し、忖度の信頼が崩れると大きな混乱が起きます。忖度を除くには法による信頼維持が重要です。中国と日本、二つの制度から北朝鮮問題を考えても面白いでしょう。

日本でも海外でも同族経営の会社は数多くあります。同族経営は前近代的と思っている人も多いのでしょう。しかし、誰がリーダーとなるか争わずにすむ同族経営は、経営資源を環境への対応に多くつぎ込める仕組みともいえます。江戸時代の商家のいくつかは直系男子のみに家を譲らず商売のうまい従業員を婿にとり家訓を守ることで、永年繁栄を保ち多くの働き手を幸せにしました。最近でも同族会社の方が有効な投資をしているようにも見えます。 (岩崎)

 

 

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