No.862 集団での意志決定

 

 

ワールドカップが始まります。選手との意思疎通が不十分と大会直前に監督を解任した日本代表の活躍には、不安を持っている人が多いでしょう。ベテラン中心のチーム構成が発表され、カリスマ的な指導者ではなく選手一人ひとりが自分らしさを発揮するサッカーを目指していると言われています。チームで相談して攻撃や守備を話し合えば、はたして良い知恵や作戦がうまれてくるのでしょうか。

1年生は毎年、「3人寄れば文殊の知恵」が事実かどうか複数チームで実験します。各人が宇宙飛行士となって月で必要なものを書いたリストにランク付けし、その後各自のランクをもとに相談して、より良いランクをチームで意志決定します。最後に専門家による正解ランクと比較し、各チームが月で生存できるかを競います。今年は4人から6人の28チームが参加し、1位チームは専門家のランキングから外れた失点が4ポイントとほぼ正解でした。 以前から宇宙に興味があったリーダーが中心となった結果です。

28チームの結果を分析すると面白いことが分かります、個人での失点のチーム平均とチーム決定の失点を比べると80%以上の23チームで改善し、多くの人は相談して生存確率が高まりました(参加した134人中94人はチーム決定で改善)。しかし40人は横ばいか悪化で、チームに参加しなかった方が良かったか、チームをもっと改善できた個人が1/3もいます。毎年同様の結果がでます。集団で決めると多くの人にメリットがありますが、その結果がチーム内のベストアイデアとは限らず時間もかかるのです。

それどころかチームのすべての個人の失点より集団決定が悪化するチームも1チームありました。このチームは真面目で熱心でしたが、結論を多数決で導いたそうです。例年の実験では、リーダーが強引に結論を誘導したり、メンバー間でここは強く出たからここは譲るといったバーターを行ったり、深く考えず先入観や偏見にとらわれたりしたチームでは、集団浅慮といわれる同じ現象が起きます。

リーダーの失点とチーム失点は近くなる傾向、議論のリードで結果が変わる等、誰がリーダーになるかはとても重要です。メンバーが議論に熱心かどうか、お互いをよく知っているかどうかも大切です。多数決以外での意志決定経験が少ないと致命的です。今回はどの個人よりもチーム失点が改善したチームも9チーム生まれました。知識があり限られた時間での意志決定のやり方を知っているリーダーを選び、各メンバーが本気で知識を出し、悪い話も異なる意見に対してもコミュニケーションが十分であれば「三人寄れば文殊の知恵」は正しいのです。日本代表チームがよいリーダーと真剣な話し合いで文殊の知恵を生み出し、ワールドカップで大活躍することを期待しています。 (岩崎)

 

 

 

 

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