No.864 目標とあるべき姿

 

日本代表は奇跡の一勝をあげワールドカップ盛り上がってきました。世界のサッカーが日本より強いことは8年前のベスト16からブラジル大会での惨敗を経て皆よく知っているので、現実的な目標は達成したともいえます。2戦の結果ではベスト8以内へと欲はありますがそれは高望みにも見えます。僕がサッカーにはまった50年前には、ワールドカップに行くことがありえない目標でした。当時の目標は韓国に勝つ。それさえも難しかったチームが5回も連続してワールドカップに出場する日が来るとは。オールドファンは、キャプテン翼のような代表の活躍を生きているうちに見るのは無理と思っていたのです。

WC出場を達成できたのは、当時のサッカー協会に目標だけでなく将来の「あるべき姿」があったからです。1986年イタリア大会へのアジア予選で日本は韓国に2連敗します。当時韓国にはプロリーグが生まれていました。協会はアマチュアのメンタルでは勝てないとプロ選手制度を作り93年からJリーグがスタートします。百年構想というクラブチームとスポーツを通して様々な世代の人たちが触れ合える場を提供する「あるべき姿」を掲げ、Jリーグの放映権等の収入をもとに、今後の変革のシナリオとして若手育成のためのナショナルトレーニングセンターを1997年から開設します。そこで育った若手がその後の代表を支えました。さて今大会では高望みの目標に「あるべき姿」は見えるでしょうか。

目標は大切ですがしばしば目標倒れになるのは、将来のあるべき姿をはっきりさせないからです。あるべき姿が見えれば、変えなくてはいけないことがはっきりします。開業時「サイゼリヤ」の社長の目標は1000店舗、周囲はほら吹きよばわりしました。しかし高望み目標には、「美味しくて、宣伝しなくても客があふれる安い店」という将来のあるべき姿がありました。どこまで値下げしたらお客様が来るのか、材料の質を落とさずその価格で利益を出すには何が必要か、薄利で安定するためにはどうするかという具合に、変革を続けると最後に1000店舗が必然となる目標で、現在はすでに達成されています。同じく長期のあるべき姿をきっちり決め今年のワールドカップで活躍しているのが初出場のアイスランドです。岐阜市より少ない人口33万人の小国が、過去20年の施設作りと子供達への高いレベルの教育と指導育成で旋風を巻き起こすかも知れません。

老後の安定以外欲がないサッカー好きの日本の年寄りはすでに目標を達成したせいか、FIFAランクは下がり続けています。単発の勝利ではなく持続した成長への高い目標と将来のあるべき姿の策定は、フリーキックのように挑戦したい若者に譲り、足が止まった僕等団塊の世代はそれをサポートしたいものです。代表にはその突破口となる活躍を期待しています。サッカーでも日本経済でも。 (岩崎)

 

 

 

 

関連記事

  1. No.698 節約意識に関するマーケティングデータ⑨

  2. No.756 伊吹山の蕎麦畑

  3. No.810 講演と懇親の会

  4. No.716 家事に関するマーケティングデータ⑥

  5. No.713  家事に関するマーケティングデータ⑤

  6. No.747 かきりんがくる(番外編) 麒麟がきつつある!

  7. No.862 集団での意志決定

  8. No.752 豊かな国のこれから

  9. No.804 観光立国としての日本の行方

最近の記事