テーマ:コラム

 自然より自然で美しい野花が咲き乱れる庭園があると聞き、八ヶ岳山麓の清里に行ってきました。30年以上前の清里は小さな原宿みたいで近寄りたくないケバケバしい町でしたが、バブルが崩壊してこれだけ時間がたつと落ち着いた田舎の風景が戻っていました。

 お伺いした美しい野花が咲き乱れる庭園は、「萌木の村」というテーマパークで、コンセプトは開拓以前の清里の原風景です。園内にはおしゃれで小さなグッズショップやオルゴール博物館などが点在しています。Hanb702b

 9月初旬の平日ですから、閑散としていると思っていたのですが、園内には多くの人たちが散策を楽しんでいて、昼はレストランが満席で行列ができていました、若い男女のグループもいますが、圧倒的に女性同士のグループが多く、その集客力に驚いてしまいました。花は、虫や鳥だけでなく、人間の女性たちも引き寄せる強力な吸引力があることが確認できました。

 この自然より自然な美しい庭園は、イギリス人ガーデンデザイナーのポール・スミザー氏がデザインしたものです。彼は英国王立園芸協会で園芸を学ぶ中で、日本生まれの魅力的な草花と出会い一目惚れ、イギリスでは買わなければ手に入らない花が、日本では山を歩くといたる所に自生している、自然豊かな国だという言葉を聞いて19歳で来日。

 しかし、来日した当時の日本は空前のイングリッシュガーデン・ブーム。夏暑く冬寒い日本では、外国生まれの花々は病気に侵され、大量の農薬でなんとか花を咲かせ、枯れれば植え替えられるという状況。スミザー氏はこの花たちは日本の気候に合っていないと依頼主に訴え続けたが聞き入れてもらえず、せっかく植えた植物が目の前でだめになっていく、植物だってなんでこんな所に植えるのですかと言って悲しんでいる、といいます。Hanb702d

 しかし、山に行くと誰にも見向きもされないが、美しい草花が一生懸命可憐な花を付けている。この日本の草花を活かした庭園を作りたいと、毎日のように山に通い日本の植物の植生を学び、実験場を作りどの植物がどんな環境に適しているのかを観察し続けた。5年後、東京で開催された大規模なガーデンショーに出展し、日本の原風景を表現した庭は大好評で最優秀賞に選ばれた。

 このことで、彼自身も単なる日本の花好きの変んな外人ではなく、自分が美しいと思う日本の野生種の花々の美しさを理解してくれる日本人がたくさんいることが解り、自信を持つて庭作りができる様になったと言います。

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 スミザー氏は、1年草をほとんど使いません、品種改良で作られた1年草は見た目は美しいのですが、寿命は1年です。

 彼が主に使うのは原種に近い多年草。派手さはないが冬を越して何年も美しい花を咲かせ続け成長するからと言います。

 私たちが住む日本は、世界的にも素晴らしい野生種の美しい花たちの王国であることを教えてもらいました。そして、足元で一生懸命生きている雑草に目を向け、貴重な日本原種の花々を守り愛しむことがとても重要なことだと、外国人のポール・スミザー氏から教えていただきました。

 次回につづく (田村)

 

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