テーマ:コラム

 私の研究テーマは、マーケティングですがこの分野の研究を掘り下げていくと、人間の生命活動や消費行動は、生まれながら植付けられた深層心理によって行動しているのか、後天的にしつけや教育による知識によって行動しているのかという問題にぶつかります。この疑問を解明したいと考えたことから、赤ちゃんや子供の行動、チンパンジー、ゴリラなど類人猿、そして群れを作る動物たちの行動も研究テーマにしてしまっています。

 その様な時に出会ったのが、京都大学名誉教授で動物行動学を日本に紹介した第一人者であった故日高敏隆先生でした。先生は例えば雄のモンシロチョウが羽化して成虫になると、雌のモンシロチョウを見つけると一直線に飛んで行って交尾する。しかし、羽化して間もないモンシロチョウに雌の見分け方を学ぶことなどできないのだから、そのための「仕組み」が必要だというのが先生の研究のアプローチで、雌の羽の裏側にある独特の色の模様が雄を呼ぶことを解明して、ただの紙にこの色のマークを付けておくと雄が集まってくることを実証しました。この様に動物行動の仕組みを解明し、動物行動学という研究分野を開きました。Hanb713b

 人間と動物はまったく違うとよく言いますが、日高先生は、「人間は動物の一員」ほとんど違いは無いとおっしゃいます。確かに日高先生の目線で物事を見渡すと、本当に人間の見方が大きく変わります。この研究で解ってきたことも沢山ありますが、疑問が疑問を呼び膨れ上がりますから現在の方が調べなければと思う範囲は広がってしまったと思います。

チンパンジーの群れの中で、ボスと交わされるNo2、No3のあいさつの表情、歯をむき出しにする顔の表情を京都大学霊長類研究所では、劣位の表情「グリメイス」と名付けたこの表情は、人間の微笑と同じ表情筋が使われ、私は貴方と戦う気持ちは無いことを表していて、人間とまったく同じ気持ちを表現しています。 

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 生まれたばかりの赤ちゃんは、自分一人では生きていくことはできません。そのため自分の存在を示すために命懸けの大声で泣き、自分の方向に向けられた顔を見つけると満面の笑みで愛嬌を振りまきます。ほとんどの動物の赤ちゃんは生まれて間もなく立ち上がり、母親の乳を探し吸い付きますが、人間の赤ちゃんは歩くどころか動くこともできませんから、自分が生きるための行動を、誰にも教えられないのにやっているのです。

 生まれたばかりの赤ちゃんは、経験や学習などで得た情報はありませんが、大人の人間は、地域や国によって異なる文化や風習、そして、教育や経験などによって得たいろいろな情報が複雑にからみあい、それに先天性の深層心理が重なって、人は各々皆違うと言ってしまうとマーケティングを否定してしまいます。 (田村)

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