テーマ:コラム

 以前、赤ちゃんに「理性」は無いと考えられていました。しかし、現在この考えは大きく変わりました。カルフォルニア大学の児童発達心理学者アリソン・ゴプニックはこの様な実験で赤ちゃんの発達を実験しています。

 赤ちゃんは話せませんが、その行動の変化から脳の成長を測ることができます。生後15か月と18か月の赤ちゃんの前にブロッコリーとクッキーを置きます。そして、一方ではブロッコリーをとても美味しそうに食べ、クッキーを食べてまずそうな顔をします。その上で食べさせてとお願いすると、15か月の赤ちゃんたちは混乱したような様子を見せますが、自分が好きなクッキーを食べさせてくれます。それに対して、生後18か月の赤ちゃんは、ブロッコリーを差し出すというというものです。

 わずか3か月間で赤ちゃんは、好みによって人は好きなものが違うということを学んだことになります。そんな短期間で赤ちゃんが成長するとは信じられないと思いますが、赤ちゃんは驚くようなスピードで条件付き確率計算を行っていて、その確率を基に学習し、判断しているのではないかと考えられています。

 ワシントン大学学習脳科学研究所のパトリシア・クールが行った世界規模の、第二外国語の習得に関する実験でも、同様のスピードが確認されています。

声の変化に反応して振り向くように赤ちゃんを訓練します。うまくできると、箱が光り、パンダのおもちゃが太鼓をたたくというもので、赤ちゃんは大喜びします。

 この実験を、日本と米国で同様に行った結果、日本語には無い「R」と「L」の音を聞き分ける力を計測すると、6~8か月までの赤ちゃんでは日米の能力差はほとんど無く、わずか2か月後には、赤ちゃんの聞き分ける力は米国では向上し、日本では低下することが確認されたのです。これは、赤ちゃんたちは親たちの会話を聞き、その言葉の統計を取っていて、データがどんどん増えていきます。米国ではRとLの音が多く、日本ではRとLの中間の音が多いのです。この様な統計の結果が赤ちゃんの脳を変化させ、母国語の習得準備を始める段階に入るのが、この頃と考えられています。

 赤ちゃんに関する行動、言語という異なるアプローチからの研究でも、確率計算や統計によって学習しているのではないかという方向が示されていることは大変興味深い研究結果です。 (田村)

 

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