テーマ:コラム

 高度な文明と科学技術を作り上げた人間は、神によって創造された特別な存在であり、動物とはまったく異なるものとされてきました。

 しかし、ダーウィンによる進化論が登場し、いろいろな分野での研究が進むにつれて、人間と動物の差はそれほど大きくないことが解かってきました。生物の中で、人間はさほど特殊なものではなく、例えば人間とチンパンジーのDNAの違いは僅か1%程度しかないことも解明されました。しかし、DNAの違いが動物同士の違いにどの程度の影響を与えるのかを判断できる尺度になっているとも思えません。

 そして、他人を思いやり助け合いをするのは人間だけとも言われていましたが、これもチンパンジーだけの実験で、チンパンジーは食べ物を分け合う様な行動はせず、共同して作業することもほとんど見られなかったことからこの様な考え方が主流でした。しかし、チンパンジー以外の猿の仲間が共同して助け合ったり、食べ物を分け合うなどの行動が確認され、食べ物が豊富な地域に生息するチンパンジーなどだけが、助け合いなどの共同行動を行わないのではなかというように修正されています。

 中南米に生息する猿の仲間「ムリキ」と「タマリン」は世界一平和な猿とも呼ばれていて、種類の異なるもの同士が共同で高い木の上で生活し、各々の長所を使って敵の攻撃に対抗し、エサも争わず分け合って食べます。そして彼らは、木から木へ移動する時に、大人たちが手を繋いで橋を作り、その上を子供たちが渡るという様なおとぎ話のような助け合いを行います。 

 ゴリラも通常は群れを作りませんが、若いメスが血縁関係のない親子の子育てに参加して、赤ちゃんのお守りをしながら子育てを学ぶ行動をすることも確認されています。

 インドネシアの密林に生息するクロザルと呼ばれる猿は、口をパクパクするなどの顔の表情でコミュニケーションを取り合っていることが知られていて、群れ全体が協力して子育てなども行います。ニホンザルもする2匹の猿がノミを取る様な毛づくろいも、最近ではノミを取っているのではなく、お互いの親密さを確認する行為と考えられています。

 この様に人間とほとんど変わらないともいえる協調性と社会性を持った猿の群れですが、オス同士の序列を巡る争いはとても激しい争いが繰り広げられます。しかし、命を落とすまでには至らずに決着します。実は、人間の子ども達も4歳の男子に見られる特有な行動があります。自分が強いことを誇示したり、高い所から飛び降りたりする行動で、お母さん達からすると何であんな危ないことをするのか理解できない行動です。この男の子特有の行動は、ほとんどの動物たちに共通で、群れの中の序列を競う行動と考えられています。 

 やはり、動物行動学という研究分野を開いた、故日高先生がおっしゃる通り「人間は動物の一員」でほとんど違いは無く、非常に発達した高度な知能を持った大脳の奥底に潜んでいる、共通の深層心理によって行動の多くが支配されている様です。 (田村)

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