テーマ:コラム

 大学1年で自信満々挑んだ資格試験に失敗し、大学進学の意味を見失い3年悩んだ学生がついに合格しました。リベンジおめでとう、と同時に悩み続けたこの3年間が人生にとって無駄にならず、ストレスに耐えて前に進んだ経験と行動が強い武器になると思います。本当の冒険はここからです。

 多くの学生と接していると、子供時代を抜け社会が見えてくる大学生という時期の過ごし方に2タイプあることが見えてきます。小さな成功や将来への無頓着からこれからも大丈夫と足が前にでるタイプと、小さな失敗や将来への不安で足がすくむタイプです。好況期は前者が不況期は後者が増えるような気がしますが、ハンガリーの詩人シャンドルは「絶望の虚妄なるは、希望の虚妄なるに相等しい」と詠んでいます。知らないうちに希望のほうがポジティブで価値が高いと前提している自分に気がつき、ハッとします。先日紹介したタレブも、「母なる自然がすることは、正しくないと証明されるまで正しい。人間や科学がすることは、不備がないと証明されるまでは不備がある」として、不確実な世界では、無頓着な挑戦は取り返せない失敗を引き起こす可能性があるとしています。飛騨牛は大切に飼われ、食肉になるその日まで人間の元で飼われ続ける自分の選択は正解だったと思うでしょう。

 それでもタレブは、小さな失敗を繰り返すことで、予想できないような成功が手に入る事柄にぶつかる。ただし、失敗に耐えられる健全な生活や資産作りを人生の大半にして、人生の一部で大きな成功が得られるような挑戦をしなさいと言っています。第三の道、小さな失敗にめげない準備をして足を前に出すタイプ、です。シンガーソングライターの小掠佳は銀行マンをやりながら楽曲を発表し大成功しましたが、49歳まで会社員が本業でした。彼のような才人は例外と割り切るのは簡単ですが、世の中には玄人はだしの趣味を持つ社会人は大勢います。その人達の何人かが、その道一筋の人より生活面で自立して継続できるため高い確率で成功するとすれば、堅実な仕事を持って趣味に打ち込む価値が見えてきます。人に流されない基盤を築き挑戦を続けろとのススメです。今年の芥川賞受賞者もそうですし、同じような行動をとった僕の友人は出世だけに全力投入した人に比べ、その趣味で社会的な成功を遂げなくても、定年後も生き生きと過ごしています。

 資格への挑戦は例え何回不合格になろうとも小さな失敗で、想定外の被害をもたらすことはありません。むしろその先にある健全な生活基盤につながります。自分が好きでたまらない本当の挑戦に乗り出す出発点に立てたこと、本当におめでとう。 (岩崎)

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