テーマ:コラム

 

 今回はここ1ヶ月で4回目のゼミライブ配信です。車の未来を考える前に取り組んだ、世の中でAIと言われるものの事例収集からわかったことは、どうもデータ収集と分析をするだけの道具にそれっぽい自動応答をつけただけのものが(主にマーケティング上の新規性を強調する目的で)AIと呼ばれているということです。さらには、人間が利便性を一番感じるハードとハードのつなぎの作業は、メカトロニクスの限界から自動化されていない(AIスピーカーに食洗機のスイッチを入れさせられても、食洗機に食器を並べてはくれない)ということでした。

 文献調査だけでなくZOZOスーツという実例で、実験してみました。ZOZOが身体の計測を自動化するZOZOスーツの無料配付を始めたのは2017年11月、発表当初25万着の申込みがありました。身体にフィットした洋服を手軽に注文できるのと同時に、ZOZOは大量の計測データを独占して商品開発に活用でき、さらに過剰在庫も持たず、人手では時間、コストがかかるものを無人化し安く提供できるとして、今年7月からはオーダーメイドスーツを39900円(現在はセールで21900円)という値段で提供しています。

 計測は最初やや手間がかかりますが、手足の太さまで細かく測ってくれます。手足が短く寸法直しがいつも必要な僕は、まずジーパン、ワイシャツを注文してみました。ジーパンは翌々日届きましたが、ウエストがユルユルでした。交換は無料とのことなので、ウエストを3cm短くして再注文、今度は1週間ほどで届きました。全体のシルエットは後からウエストを詰めた感じでした。シャツは到着まで15日かかりましたが、ぴったりでした。これからわかることは、商品はいちいちオーダーメイド製作しているのではなく、シャツやズボンはある程度標準化されたサイズの在庫を持って、それらを手直ししている可能性が高いことです。今後スーツも注文してみますが、現在注文後到着予定は来年1月上旬以降、採寸に従ってというよりイージーオーダーに近い形で製作されているのでしょう。つまりかなり人手が絡んでおり、手直し発生頻度が高ければコスト高です。

 パーソナル消費にあわせたB to C革命はZOZOスーツのようなビッグデータ活用とAI化で可能と言われていました。しかし、再注文品を届けてくれた宅急便の人によると、最近ZOZOの荷物、特に返送品が急増しているそうです。1年以上たってもZOZOの品揃えもカラーバリエーションも限られたままです。これらを総合してゼミで検討した結果、今のAIというブラックボックスの中には、AIの評判を維持するために、宅配ドライバーや外国人研修生のような魔法使いのこびとさんがたくさん入っているらしい、との結論になりました。

 AIの中のこびとになればその仕事はAIに奪われることはないということです。つまり、メカトロニクスより人間の方が安くつく仕事はこれからも残ります。それじゃ希望がない、という人へのゼミ生からのアドバイス(仮説)はゼミライブ最終回で。  (岩崎)

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