朝日大学経営学部ビジネス企画学科

No.753 Sapporo Sight-Seeing (2) 佐藤忠良先輩とわたくし(札幌芸術の森野外美術館) | 朝日大学経営学部ビジネス企画学科


テーマ:コラム

 先輩と言っても面識はありません。

 我が母校。北海道立札幌西高等学校は「やることはやる。やるときはやる。やれるだけやる」という実行精神のせいで、「やることしかやらない、やるときしかやらない、やれるだけしかやらない」優秀な人材を多数輩出していることで有名です。その中で最も有名なのは、ゴジラの劇伴を作曲した現代音楽家の伊福部昭先輩なのですが、同年代でもうお一人。それが佐藤忠良先輩です。

 一般的には絵本「おおきなかぶ」(福音館書店版/A・トルストイ再話/内田莉莎子訳)の作画でお馴染みです。私としては、岩手県遠野市「とおの物語の館」の前庭にある柳田國男先生の胸像が佐藤忠良作品で驚愕した思い出があります。時代を代表する彫刻家のため、札幌市内の美術館・町中に作品が点在するほか、滋賀県の佐川美術館や、(出生地である)宮城県美術館にコレクションがまとめられています。

 写真は「札幌芸術の森野外美術館」内に建つ「佐藤忠良記念子どもアトリエ」前の作品「亜古」と一緒に自撮りしたものですが…亜古ちゃん、見切れちゃってますねえ。不気味なオッサンとの対比で愛らしさは増しているかもしれませんが…。

 しかし!我々(札幌)西高生にとっての代表作と言えば「蒼穹」です。この作品は、佐藤先輩により(旧制第二札幌中学校)創立60周年記念に際し寄贈されたもので、新制札西高50周年記念誌「蒼穹の庭」のタイトルともなっている、まさに西校のシンボルとなっている彫像なのです。我々が生徒だった時代には、たしか階段の踊り場にあったような気がするのですが…現在は校舎前庭に、本郷新先輩、山内壮夫先輩の作品と共に屋外展示されております。

 ではなぜ「蒼穹」と一緒に撮った写真を掲載しないのか?理由と事情は「佐藤忠良 蒼穹」で写真検索してお察しください。彫刻家としての佐藤忠良の特徴は、ありのままの人間存在を描くこと。彫像の中からは、モデルとなった人物の生物としてのエネルギーが迸ってきます。今回の取材で様々な作品をじっくり鑑賞しましたが、どの作品も骨と筋肉と皮膚の流れに嘘がないのですね(厳密に言うと、創作ならではのテクニックがあるのですが、嘘に見えないのです)。つまり、全ての作品が“ここに特権的肉体がある”という強いオーラを放っているのです。

 そんな強烈な作品性に満ち満ち溢れた、両手を広げて立ちはだかるうら若き乙女の裸婦像を、純真な高校生男子の目に嫌でも入るところに置くな(笑)!芸術と言い張れば環境型セクハラじゃないのか?表現の不自由とか宇崎ちゃんどころの騒ぎじゃねえ。

 というわけで、色々巡り巡ったことを書きましたが、わたくしにとっての佐藤忠良表象は“エロ”なのでした。だからこそ、大人になってから「おおきなかぶ」の作画者であることに気づいたり、柳田國男胸像で驚いたり、じっくり舐め回すように微に入り細を穿ち裸婦像を鑑賞できる年齢になったりして、初めてその芸術家としての凄みに気づくことができたのでした。身近にあると、かえってその価値が理解できないというのは、こんなところにも通ずるのですね。

 ところで今回、初めて札幌芸術の森野外美術館を取材して、なぜだか養老天命反転地を思い出しました。やりたいことはよく理解できるのだけど、なんだか微妙なスベってる感と、とにかく一周するのに疲れるところが…。自然との共生というコンセプトは魅力的だと思うのですが、最低でも宮脇愛子の「うつろひ」くらいのスケール感がある巨大作品に絞るか、ヴィーゲラン広場や渓流沿いの佐藤忠良作品群みたいに密集展示しないと、ぼかーんと丘と森の中に埋もれてしまうだけのような気がするなあ…。

(畦地)

 

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